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菅田将暉、サブカル女子から支持されるワケ 王道的イケメン×抜け感の魅力

2016年06月09日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)2016『ディストラクション・ベイビーズ』製作委員会

 俳優・菅田将暉の勢いがすごい。KDDI auのCM「三太郎シリーズ」での鬼ちゃん役で、広くお茶の間に親しまれているほか、現在放送中の月9ドラマ『ラブソング』(フジテレビ系)では天野空一役を演じ、バラエティ番組にも引っ張りだこ。映画界でも若手俳優の中で頭一つ抜けた活躍をしており、現在公開中の映画『ディストラクション・ベイビーズ』のほか、『デスノート Light up the NEW world』(2016年10月29日公開予定)や『溺れるナイフ』(2016年秋公開予定)など、今年は9作品に出演する。さらに、『GINZA』や『Soup.』などのモード系女性ファッション誌でもたびたび特集が組まれており、映画や音楽、ファッションなどのカルチャーに高感度な女性、いわゆる“サブカル女子”から特に支持を得ていることが伺える。


参考:『ディストラクション・ベイビーズ』は優れた寓話だーー柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎の演技が伝えるもの


 菅田がサブカル女子から人気なのは、麗しいルックスはもちろん、そのパーソナリティによるところも大きいだろう。とにかく好奇心旺盛で多趣味な彼は、ファッション、音楽、お笑い、漫画、写真など、あらゆるカルチャーに通じている。中でも“ファッションへのこだわり”は強く、生地を買って自ら裁縫をするほどで、ときには洋服にお金を使いすぎて金欠状態に陥ることもあるとか。また、古着をこよなく愛しており、奇抜なファッションセンスの持ち主でもある。


 性格にも、乙女心を掴むキュートさがある。4歳下と7歳下の弟は小さい頃から溺愛し、よく面倒を見ていたそうで、弟たちからも慕われている。また、バラエティー番組などで垣間見える純粋さや、友達に服をあげるなどのエピソードからも、優しい内面を感じることができる。しかし、完璧すぎるかと思いきや、お酒には弱く、撮影の打ち上げ中にも関わらず寝てしまうなど、“ポンコツ”エピソードにも事欠かない。その“抜け感”に母性をくすぐられるファンも多いはずだ。


 もちろん、俳優としての実力も確かだ。持ち前の粘り強さと好奇心で常に成長し続け、いまや演技派俳優として製作陣からの信頼も厚い。2013年に公開された『共喰い』をキッカケに、俳優として生きていくことを決意したという菅田は、同作品で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか、さまざまな賞を受賞。アフロヘアーのホストから狂気に魅入られた凶暴な高校生、体重を6キロも落として女装まで演じた役柄の広さから、その演技は“変幻自在”とも称されている。とくに、三太郎シリーズの鬼ちゃん役の破壊力たるや。“悪”の要素を全く感じさせない純朴な笑顔と、「よっす~!」と軽快すぎる無邪気な挨拶は、全国のサブカル女子たちの心を一瞬でつかんだ。


  現在、菅田と近いポジションと目される俳優は多い。染谷将太、池松壮亮、加瀬亮、森山未來なども、同じようにサブカル女子から人気だ。だが、彼らと菅田との間には、明確な違いが見てとれる。たとえば、同い年である染谷将太は、どの作品でも強烈な個性を発揮し、年齢不相応な落ち着きと、何か抱えているのでは?と思わせるようなミステリアスさを醸し出すことに長けている。池松壮亮や加瀬亮、森山未來も、幅広い役を演じるが、どこか影のあるイメージを活かした演技で、作品に奥行きを与える役柄であることが多い。一方、菅田の場合は役ごとに表情まですっかり変えて、まったく別人といって良いほどに変貌する。もちろん、どちらが俳優として正しいかという話ではないが、少なくともそれが菅田という役者の個性となっている。また、少年のような輝きと圧倒的な可愛らしさの中に潜む“エロス”を表現させると、彼の右に出るものはいないように感じる。パーソナリティーはあくまでサブカル的だが、アイドル的な魅力も兼ね揃えているのが、憎いところだ。


 独自の世界観を持ちながら、王道的なイケメンの要素も兼ね揃え、それがオリジナリティ溢れる存在感につながっている菅田将暉。その変幻自在の演技で、これからも私たちの胸をときめかせてくれることを期待したい。(戸塚安友奈)