トップへ

加藤シゲアキ、『時をかける少女』教師役はハマり役となるか? 独自のスタンスを考察

2016年06月07日 20:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)タナカケンイチ

 NEWS・加藤シゲアキが7月期の日テレ系土曜ドラマ『時をかける少女』に出演することが発表され、話題となっている。加藤が演じるのは、主人公・芳山未羽(黒島結菜)のクラス担任で数学教師の“矢野和孝”という役どころだ。加藤が教師役を演じるのは、2012年に出演したスペシャルドラマ『ブラックボード~時代と戦った教師たち~ -第3夜-』(TBS系)以来となる。


参考:松本潤主演『99.9』第7話は“ミステリー”から“サスペンス”へ 斑目法律事務所はどう結託したか


 過去に何度も映像化された筒井康隆の原作『時をかける少女』は、ひょんなことから“時を自由に越える能力”(タイムリープ能力)を身につけた女子高生が、不思議な体験や事件に巻き込まれながらも、恋や友情を謳歌し、瑞々しい青春を過ごしていくSF小説の金字塔。ドラマの公式サイトによると、加藤が演じる矢野は、熱血でノリが良く、男女問わず生徒に慕われるキャラクターで、時に主人公の行動を左右するような言葉を投げかける重要な役柄だ。青山学院大学の法学部を卒業している加藤は、ニュース番組でキャスターを務める櫻井翔(嵐)や小山慶一郎(NEWS)らと並ぶ“エリートアイドル”。頭脳明晰なイメージも定着しており、年齢的にも教師役は適任といえよう。


 また、加藤が近年、文筆家としての活動に力を入れていることも、役柄に影響を与えそうだ。今年1月に『ピンクとグレー』や『傘を持たない蟻たちは』が映像化されたことで、作家・加藤シゲアキとしても改めて注目を集めているが、活動開始当初は、“アイドル作家”として見られていた面もあった。しかし、次々と佳作を発表したことで、文筆家としての評価も高まっている。また、『ピンクとグレー』のテーマがアイドルとしての苦悩に正面から向き合ったものだったことから、従来の一般的なアイドル像ーーキラキラの美少年というイメージから、うまく脱却しているのも注目すべきポイントだろう。


 加藤は昨年7月、『NEWS ZERO』のスピンオフ番組『櫻井翔×大野智×加藤シゲアキ アイドルの今、コレカラ』にて、「(NEWSのメンバーが)4人になった時にすべてを失った。1からやり直すつもりで、とことんNEWSでアイドルをやってやろうと初めて思った」と、本音を明かしている。アイドルである自分を客観視しながら、その仕事に誠実に向き合おうとしているのが伺える発言で、このスタンスこそが加藤の個性でもある。その考え方は、好きなことを仕事にする、ファンの期待に応えるといった理想論を越えたところにあり、清濁併せ呑む大人として態度ともいえる。


 ジャニーズの俳優は20代後半~30代半ばになると、青年と中年の狭間で、うまい役どころが見つからないことがある。ジャニーズ内でも屈指の演技派である二宮和也でさえ、2014年にドラマ『弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』で教師を演じた際は、どこか不自然な印象が拭えなかった。若々しいルックスのため、周囲の生徒との関係性を明示化できなかったのが、その理由のひとつだろう。しかしその点、すでにアイドル的なイメージを対象化している加藤であれば、自然と教師らしい態度が取れるのではないだろうか。


 今回の教師役は熱血漢とのことで、クールな加藤がどう演じるのかも楽しみなところ。言葉に説得力を持つ彼ならではの演技で、生徒たちを盛り上げながらも、作品に深みを与えてくれることだろう。ちなみに、加藤は本作へ出演するにあたり『時をかける少女』をオマージュした短編小説『おれさまのいうとおり』を執筆している。こちらも合わせて楽しみたいところだ。(泉夏音)