F1発展のためには、思い切った変化を取り入れていくべきであるとF1株主CVCキャピタル・パートナーズの役員会メンバー、サー・マーティン・ソレル氏は考えている。ひとつのアイデアとして、バーチャルリアリティを役立てることを挙げている。
国際的な広告およびPR会社WPPのCEOでもあるソレル氏は、F1はエンターテインメントイベントであるべきだと主張。F1公式サイトのインタビューにおいて、近い将来、F1に導入するべき変化について聞かれ、バーチャルリアリティを利用すべきだと答えた。
「バーチャルリアリティ(VR)をF1で活用できれば素晴らしい。(VRで)マシンを走らせることができるのだ」とソレル。
「たとえば、リドリー・スコット監督の映画『オデッセイ』でもそういう企画があった」
「私はそれを実際に体験した。火星の地表から宇宙船に乗って飛び立ったり、宇宙空間で歩いたり、宇宙を見つめておびえたり……それをヘッドホンとゴーグルをつけて体験したのだ」
「非常に素晴らしい技術だ。今後数年でさらに大きく進歩するだろう。これを活用して何ができるか考えてみるべきだ」
「VRは大成功を収めるだろう」
■ビジネス戦略を変える必要性
F1は各国の放送局から放送権料を得ることで多額の収入を安定的に確保しているが、そういう方法はもはや古いとソレル氏は主張している。ファンの関心を収入につなげるために別の方法も考えるべきであるというのが彼の考えだ。
「Sky UKの放送が始まった際、有料放送であるため視聴者が減るという議論が持ち上がった」
「だが製作の質、技術の活用、視聴者の確保はかつてよりもずっといい状態だ。製品の質が上がったからだ」
「だが結局は放送権によって固定料金を得るという形は必ずしも長期的な答えとはいえない。これは古いモデルといえるかもしれない」
「他のモデルについて考え始める必要がある。どうすれば関心をかき立てることができるのか、今後ひとつのブランドとして何ができるのか、他のさまざまな方法で収入を得ることが可能であるという事実についてだ」
「キューバで無料のローリング・ストーンズのコンサートが行われ、150万もの人々が集まったということを考えてみてほしい」
「どういった形での収入が実現可能なのか、想像力を使って考えてみるだけでいい。世界は変化している。F1界でも大勢の人々がそのことを理解し始めている」
現在F1の視聴者数は減少傾向にあり、昨年は2,500万人減って4億人になったといわれ、新たなスポンサーを獲得しづらい状況にある。