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ゴミ捨て場から「ノートPC」を持ち帰ったら使えた! 勝手に拾うのは犯罪?

2016年06月07日 11:11  弁護士ドットコム

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ゴミ捨て場にパソコンが落ちてたから拾ってきた−−。そんな報告がネット上の掲示板で話題となった。


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投稿主が拾ったのは、国内大手メーカー製のノートパソコン(Windows7)。「ごみ捨て場に回収できないとシール張られていたから拾った」という。ACアダプタも付属しており、持ち帰ると、正常に動作することが確認できたという。「いいの拾ったな」と羨む声がある一方で、「警察に届けたほうがいい」と指摘する声もあった。



ごみ捨て場に遺棄されたモノを拾ってくると、なんらかの罪に問われるのだろうか。近藤公人弁護士に聞いた。



●「遺失物横領罪、場合によっては窃盗罪にあたる可能性がある」


「ゴミ捨て場においてあるモノを持ち帰る行為は、『遺失物等横領罪』(刑法254条)が成立する可能性があります。また、場合によっては窃盗罪(235条)が成立する可能性があります」



ゴミ捨て場に捨ててあるのであれば、誰のモノでもないのではないか。



「たしかに、遺失物横領罪が成立するためには、持ち帰ったモノが『他人の物』に該当する必要があります。『無主物』、つまり誰も所有者がいないパソコンを持って帰っても遺失物横領罪にあたりません。



ただし、持ち主がどのようなつもりでゴミ捨て場に捨てたのか、どんな場所に置かれていたのかといった点によって結論は変わってきます。所有者が不明確でも『他人の物』になる場合があります



『行政が必ず処分してくれる。データを他の人に見られたくないので、行政が処分しないのであれば自分が処分する』という意思で捨てたのであれば、他人が持ち去ることは容認しているとはいえないでしょう。



この場合、所有権が放棄されていたとはいえないため、『他人の物』を持ち去ったと評価される可能性があります。少なくとも遺失物横領罪にあたる可能性があります」



●「回収できない」というシールが貼られていた事情は影響する?


窃盗罪にあたるのはどんな場合なのか。



「自治体によっては、専用の回収ボックスで廃棄パソコンを回収しているところもあるようです。単にゴミ捨て場に放置されていたのではなく、こうした回収ボックスなどで管理されていた場合、行政の管理下におかれていたとして、行政側に『占有』があると考えられます。



この場合、パソコンを持ち帰ることは、遺失物横領罪よりも重い『窃盗罪』が成立する可能性があります」



ただ、今回のケースでは『回収できません』というシールが貼られていたようだ。こうした場合、不法投棄の可能性が高いのではないか。そうした場合でも窃盗罪が成立するのか。



「『回収できないとシールが張られていた』のであれば、仮に回収ボックスのような場所にパソコンが廃棄されていたような場合でも、窃盗は成立しないと思われます。



また、不法投棄であれば、もとの所有者は行政の適切な処理を期待していたとはいえないでしょう。所有権についても放棄されていると考えられえます。持ち帰っても遺失物横領罪にもあたらない可能性があります。



一方で、仮にそのパソコンが盗品で、窃盗犯がゴミ捨て場に放置したような場合であれば、パソコンの所有者が所有権を放棄したとは考えられません。この場合に、パソコンを持ち帰った場合、やはり遺失物横領罪が成立する可能性があります。



いずれにしても犯罪が成立するか否か、大変微妙ですので、拾ってくるのは危険を伴います。やめておいた方が良いでしょう。



なお、窃盗や遺失物横領に当たらない場合でも、パソコンにIDパスワードが残っていた場合に、これを利用してクラウドなどにある元の持ち主のデータにアクセスした場合には、不正アクセス禁止法に違反する可能性があるので注意が必要です」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/