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Leola、『ラヴソング』出演で見つけた新たな挑戦「その瞬間の自分を生かしていきたい」

2016年06月06日 17:11  リアルサウンド

リアルサウンド

Leola

 クライマックスに向け大きくストーリーが動き出した、フジテレビ系月9ドラマ『ラヴソング』。これからの佐野さくら(藤原さくら)と神代広平(福山雅治)の関係性においてキーパーソンとなるのが、第9話より登場したLeola演じるシンガー・シェリル。ハワイ語で“太陽の歌声”の意味を持つLeolaは、4月27日にシングル『Rainbow』でデビューしたばかりのシンガー・ソングライター。サーフ・ミュージックなど、オーガニックで明るく力強い音楽を愛し歌う彼女だが、表情豊かに屈託のない笑顔で話をしている姿を見ると、歌にある明るさはまさにLeolaそのものを表現したものとわかる。今回の役どころシェリルは、そんなLeola自身とは真逆のキャラクターということで、役作りやドラマの現場についての話をうかがった。実際にドラマ内で歌われる「Rainbow」にも、注目してみてほしい。(吉羽さおり)


・「いろんなことが動いていく予感がした」


ーードラマ出演の話がきたときには、どう思いましたか。


Leola:実は、デビューの日にその知らせをいただいたんです。自分のアーティストとしてのスタートを切る大事な日でもあったので、こうやっていろんなことが動いていくのかなっていう予感になったり。何か縁があったんだなって思いました。でも正直、アーティストとしてやっていきたいのがいちばんで、自分の目標や夢のなかにお芝居が入っていたわけではなかったんです。歌に活きたらいいなと思って、演技レッスンを受けたこともあったんですけど、主軸には歌いたいという気持ちがあって動いていたものだから。実際に、ドラマの現場にーーしかも現在放送中のお話に参加するのは、本当に大きなことだなと思ったので、きちんと向き合わなければいけないなと思いました。


ーーLeolaさんはデビューしたばかりですが、演じるシェリルは数々のヒットを飛ばす売れっ子シンガー、なんですよね。


Leola:そうなんです(笑)。最初にその話を聞いたときは、「え、わたしがですか?」って。デビューしたばかりで、売れっ子の役ができるんだろうか、やっていいのかなとも思いました。でもいただいたからには、役として、自分とはまた違うところに心を置いてやらなきゃなって。


ーー最初に、シェリルという役はどういう人物だと聞いていたんですか。


Leola:音楽界のトップを走る、いわゆる旬のアーティストで。最初にこういうふうに演じてくださいと言われたのが、「どこかで見たことがあるかもしれない、大御所の人やすごく売れている人」、「忙しい人で、とても感じが悪い人をやってください」と言われたんです(笑)。(シェリルに扮した写真をインタビュー現場で見て)うわ、これ初めて見た! 


ーーこの写真だけで、相当なパンチ力がありますね(笑)。


Leola:この写真は、衣装合わせやイメージを作っていく日だったんですけど。衣装も、ハードな印象のジャージやサンダルが並んでいて。できればサングラスをしてフードをかぶってほしいということだったんです。結局、フードはかぶっていないんですけど。それで、仕事の合間だからメイクはしているので、赤リップもつけますと。もうその時点で、普段の自分とは真逆で。その時に覚悟しました。まったく別の人にならなきゃいけないなと。自分の普段の感じを、まず消すというところからだなと。


ーー自分とは正反対の人物を作り出すうえで、参考にしたものはありましたか。


Leola:たとえば、わたしもよく聴いていたような歌姫と呼ばれる活躍されていた方たち、クールでかっこいい立ち振る舞いをしている方たちが、実際に裏ですっごくイヤな人だったら、こんなふうに見えるだろうなというのをイメージして作り上げていったんです。最初はほとんど笑わないイメージでやっていたんですけど、演出家の先生とお話したり、実際にやっていくなかで、少し笑顔を見せてくれてもいいよって言ってくださって。でもせっかくやるなら、振り切っちゃおうと思いました。中途半端にいい人っぽいところを残したくないと思ったので、見た目や目つき、言葉の発し方や声のトーンも気を付けました。パッと見て、「うわぁ、この人すっごいむかつく!」って言われたら、褒められたってことだなと思いました。実際は、怖いですけどね。


ーー怖いですよね。デビュー直後で世の中の人はこれからLeolaさんを知っていく段階で、「この人、すっごいむかつく」というシェリルという役柄のイメージもついてしまいそうで。


Leola:今はまだドラマの放送前なので、どういう反応がくるのかドキドキしているんですけど。もしイヤだなと思われたとしても、この作品でLeolaという名前を覚えてもらえるきっかけになるならいいなと思ったし。これから、このシェリルという役柄を超えられる作品を出していけたら、そこは拭えるんじゃないかなと思っているので。今後の作品を、しっかり作っていきたいなと思います。


・「歌う人によって伝わり方や伝え方は変わる」


ーーいいハードルができましたね。ドラマのなかでは、実際にLeolaさんのデビュー曲「Rainbow」を歌うシーンもあるようなのですが、通常のライブや歌番組ともまた違った感覚だと思いますが、実際いかがでしたか。


Leola:歌番組のセットをそのまま借りて、その番組に出演している設定で歌わせていただいたんです。Leolaとしてテレビ歌唱自体ほとんど経験がなくて、その時点でも緊張するのに、さらにLeolaとしてでなくシェリルとして歌わなきゃいけなくて。しかもLeolaのデビュー曲「Rainbow」を(笑)。


ーー頭がこんがらがりそうです(笑)。


Leola:複雑だなと思いながらやっていました。シェリルは、歌番組で歌うのは朝飯前よって感じに見えなきゃなって思ったので、ここでは一旦、Leolaは置いて歌いました。なので、いつか、Leolaとして出演させてもらえたらと。


ーーメンタルはシェリルだけれど、歌声はLeola、という感じもあるんですか?


Leola:Leolaではいつもギターを持って歌うんですが、シェリルでは持たずに歌うことがまず違いますね。そこでもLeolaとしてとはまた違うステージで、いつものステージよりもクールに見えるようにというのを心がけたので、もしかしたら声色も変わっているかもしれないです。


ーー改めてすこし違った角度で「Rainbow」を歌ってみて、曲の捉え方に変化もありましたか。


Leola:Leolaとして歌う「Rainbow」はみんなにハッピーになってもらいたいという気持ちで。どこで歌うときも、みんなで楽しみたいし一緒に歌ってもらえたらいいな、踊ってもらえたらいいなという気持ちで歌っているんですけど。シェリルは、“これをやれば喜んでもらえるんでしょ?”という人なので。たぶん、ちょっと上から目線の曲にもなっているのかもしれない。同じ歌詞で同じメッセージ、同じメロディでも、歌う人によって伝わり方や伝え方は変わるんだなと思いました。


ーーちなみにLeolaさん自身は、“シェリル度”はゼロ?


Leola:自分のなかには、そうですね。ただ音楽が好きっていうことは一緒だと思います。シェリルも、仕事に関してはすごく熱心な人で。イヤな人だけど、率直にこれはいい悪いと言えるっていうことでいうと、かっこいいなと思うし。ストレートに制作や表現に向き合う意味では、わたしもそうでありたいなと思いました。


ーー初のドラマ出演で、現場の雰囲気はどうでしたか。


Leola:なんかもう、その場にいるのに必死で(笑)。でもとても穏やかな現場だと思うんです。撮影のチームのみなさんも温かく迎えてくれて、みなさんとても仲が良くて、素敵な現場だなと思ったんですけど。そういうことに気づけたのは、後半になってからで。それまでは、どういうふうに撮影が進んでいくのか、カットがかかって、確認する時にどこにいたらいいのかもわからなかったので。いつでも呼ばれたら「はい!」って行けるようにしていました(笑)。ずっとキョロキョロしている内に、1日たっていましたね。


ーー共演者の方とはお話は?


Leola:役としての接点では、シーンは福山雅治さんとご一緒だったので。福山さんに声をかけていただいて、少しお話をさせていただいたんですが、それも後半になってからですね。演出家の方やスタッフの方とはよくお話をしていました。


ーー佐野さくら役の藤原さくらさんとは、直接共演するシーンはないんですか。


Leola:同じシーンはないんです。ないんですけど、打ち合わせでスタジオにお邪魔したとき、廊下でお会いしてびっくりしました。すごく遠くの方から、「あれ?」って気づいてくれて、さくらさんのほうからご挨拶してくれて。「いつも曲聴いています」って言ってくださって。「いやいやこちらが聴いてます!!」っていう、わちゃわちゃした対面になっちゃったんですけど(笑)。でも本当にあのままのキャラクターで、素敵な方だなあと思いました。


ーー藤原さくらさんとは、デビュー時期も近いですよね。


Leola:でも、私自身はデビュー前から彼女の曲を大好きで聴いていたんです。だから『ラヴソング』のヒロイン役に抜擢されたのを見た時も、すごいなあって思って見ていて。本当にいちファンだったんですよね。もちろん、デビューしてこれからスタートしていく同じような立場としては、一緒に頑張れたらいいなとか、もっともっと追いかけられたらいいなとか思っているんですけどね。負けずに頑張りたいと思います。


ーードラマはここからクライマックスに入っていくところですが、Leolaさんの撮影もまだ残っているんですか。


Leola:そうですね。まだ残っていて、ありがたいことに参加させていただきます。シェリルは佐野さくら(藤原さくら)さんと対比でみられる役柄なので、そこに福山さんが演じる神代広平さんがどう関わっていくのかっていうところは面白いところかなと思います。


・「トライすることを恐れない」


ーー音楽についてのお話もお伺いします。デビューして今は、いろんなものを吸収してる時期だとも思いますが、最近好みで聴いている音楽はありますか。


Leola:最近は、洋楽だけじゃなくて邦楽もちゃんと聴こうと思って、改めていろいろ聴いてます。バンド系の音楽もよく聴くようになりましたね。感覚ピエロさんとか、Sumikaさんやヒトリエさんとか。今、そういう気分なのかもしれない。でも、変わらずジャック・ジョンソンも大好きなので。気分によって、聴くものも違いますね。


ーー幅広い音楽を聴いていますが、Leolaさん自身がアウトプットしていく音、言葉は心地よくオーガニックで、明るくポジティヴなものが多いです。


Leola:聴くものと、表現するものや歌うものって違うのかなと思っていて。私はなんでも吸収をしていろいろ入れたいタイプで。取り込むっていうところでいうと、こういう感情を表現するにはこういう言葉があるんだとか、こういうメロディがあるんだとかで。自分の声で何を歌うかっていう時には、それがそのまま出ていくわけじゃなくて、入ってきたものを噛み砕いて、自分だったら?と考えると、それは私になるんだと思うんです。だって、〈あんたの正義はいったいなんだ〉(感覚ピエロ「拝啓、いつかの君へ」)とかは、わたしからは絶対に出てこない言葉ですからね。だから面白いんだと思うんです。


ーーいろんな感情や言葉、攻め方を知るわけですね。


Leola:興味があるんですよね、この気持ちを人はどういうふうに表現するのかなとか。何に対しても、興味津々なので。それこそ、今回のドラマの現場もそうで。ここではどうやって進んでいくだろう?とか、この人は何をしている人なんだろうとか、そういうのも全部知りたいし見たいんです。デビューっていうタイミングで、さらにその気持ちが強くなっているんですよね。やっとスタートできて、見えてくる世界がぐんと広くなって、あれは何? これは何なんだろう?って、いろんなこと、いろんな人への興味がわいてきました。新しいことばかりで面白くて、ここでは何が起きてるんだろうって、首を突っ込んでみたくなっちゃうんです。


ーー今回、突然のドラマ出演という予想だにしなかったことがひとつ起きて。ここから先については、どう描いていますか。


Leola:自分が予想していたデビュー、そして次に向かっていく点とは、違うところにポンと打たれた点なんですけど。それを繋げていきたいなって思いますね。自分が歌っていきたい作品については、ずっと考えてきたことなので、そこは繋がっていくんじゃないかなと思っているんですけど。でも、今回は突然の変化でわたしの気持ちや状況もやっぱり最初のデビューからは変わっているので。その瞬間、瞬間の自分をリリースにも生かしていけたらいいなと思っているんです。今回、お芝居に挑戦させてもらったことから、この先どう繋げていくかに関しては、正直まだ追いついてないところもあって。また演技に挑戦していくのか、コンスタントにやっていきたいと思うのかに関しては、整理がついていないところもあるんですけど。確実に言えることは、お芝居だけじゃなくどんなことに対しても、チャレンジ精神とトライすることを恐れずにやっていきたい。ここまでたどり着くまでもそうだったんですけど、やらずに諦めるとか、やる前からできないっていうのがすごくイヤで。挑戦して、大失敗でもそれはそれでよくて。やってみることに意味があると思っているんです。この先、目の前に飛び込んできたもの、導かれたものがもしあったとしたら、やってみたいなって思っています。


ーーそういうチャレンジ精神は、もともとLeolaさんが持っているものなんですか。


Leola:もともといろんなことに興味を持つタイプではあったと思います。私は、オーディションがきっかけで今回デビューしたのですが、最初のオーディションは落選して、その後、強くなりました。初めて受けたオーディションで、あれをやっておけばよかった、これをやっておけばよかったって思うことがたくさんあって、そういう後悔をしたくないと思ったので。それからは、何かに取り組むにしてもあの時手を抜いたからよくなかったんだとか、絶対に思いたくないなって思って今まできています。


ーー負けず嫌いの気質が出ちゃいますね。それがいい方向にも導いてる。


Leola:やってみて、向き不向きとかやらなきゃよかったとかもあると思うんですけど。それを知れたことも、武器になるのもあるんじゃないかなと、信じています(笑)。前向きなんです。そのほうが、幸せだと思うんです。(取材・文=吉羽さおり)