フェラーリのエンジニア、ジョック・クレアが、チームはモナコでタイヤをうまく使いこなすことができずに苦しんだと認めた。一方で、一部チームが内圧制限をうまく逃れるすべを見つけ出したという説に関しては、「不可能」であるとして否定している。
セバスチャン・ベッテルは予選4位、決勝4位、キミ・ライコネンは予選6位、決勝リタイアと、フェラーリはモナコで精彩を欠いた。
チーム代表マウリツィオ・アリバベーネは、予選の不振は「タイヤの挙動に関係がある」と述べており、クレアも同様にフェラーリはタイヤをうまく機能させることができずにいると認めた。
Auto Motor und Sportのインタビューにおいて、マシンに速さがありながら大事なときにそれを発揮できない理由はと聞かれ、クレアはモナコの予選では「単純にタイヤを最適な状態に持っていくことができなかった」と答えた。
「4本のタイヤを同時に作動温度領域に入れるのは至難の業だ。ウォームアップラップを適切に走ることがカギになる。モンテカルロではタイヤの準備を整えるのに通常2周かかる。それをきちんと走ることが極めて重要だ」
「冗談でなく、タイヤはいまだにミステリーなのだ。ブラックホールだ。マシンに1000のセンサーをつけて、エンジンやトランスミッションなど、あらゆることを細かく知ることができる。だがタイヤだけは事実上、何も分からない。温度と内圧だけだ。そのためタイヤの管理がとても難しく、非常に興味深い分野となっている」
「科学ではなくドライバーとエンジニアの感覚が大きくものを言うのだ」
ピレリは今年、高めのタイヤ内圧を指定しており、一部ドライバーたちからそれによっていいパフォーマンスを発揮しづらいとして不満の声が出ている。
一方で、一部チームが、FIAの測定が行われる際には規定の範囲内の内圧で、その後それを下げるという方法を見つけ出したという疑いをピレリは持っている。
しかしクレアは、そういうトリックを行うのは不可能だと考えている。
「内圧が低いほどグリップが高まる。予選の1ラップだけなら内圧を望む領域にとどめておくことは比較的たやすい。だが決勝ではスタート時の内圧からより大きな影響を受ける」
「一部のチームが大幅に内圧を下げることを可能にしたという話は信じていない。0.5PSIならあっても2PSIはないだろう。それは不可能だと思う」
「賢い解決法があるという説があるけれど、それは違法だ。FIAがすべてのマシンが合法であると確認しているのだから、疑う理由などない」