86/BRZ第4戦富士 プロフェッショナルシリーズで優勝した近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R) GAZOO Racing 86/BRZレースの第4戦が、富士スピードウェイを舞台に6月4~5日に開催され、プロフェッショナルシリーズでは近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)がポール・トゥ・ウィンで初優勝。そして、クラブマンシリーズでも手塚祐弥(栃木スバルOTモチュールBRZ)が初優勝を飾った。なお、両シリーズを通じてスバルBRZが勝利したのは、今回が初めてである。
金曜日の午後に設けられた専有走行で、トップタイムをマークしていたのはプロフェッショナルシリーズでは阪口良平(AREA86倉敷)で、クラブマンシリーズでは松原怜史(asset・テクノ・BS86)。両者ともシリーズランキングのトップとあって、ここまでの流れが継続されていると思われた。
しかし、土曜日になって予選を迎えると状況は一変。プロフェッショナルシリーズでは阪口が「練習とはフィーリングがガラッと変わってしまった」と5番手に留まるなか、近藤が佐々木雅弘(asset・テクノ・BS86)を0.003秒差で抑えて初のポールポジションを獲得した。3番手には青木孝行(ケーエムエスADVAN 86R)がつけ、4番手には蒲生尚弥(ASICS Blue 86R)が続いた。
初ポールの近藤は「あのタイミングで、しかもあんなタイムが出るとは自分でも思いませんでした。コンディションの変化とか、金曜より涼しくなったことが、僕らヨコハマ勢にはいい方向に来たのかもしれません。多少スリップストリームも使えたというのもありますが、自分でもビックリしています」と語った。
一方、クラブマンシリーズでは、松原亮二(N群馬FKジースパイスBS86)が予選1組のトップにつけて、橋本洋平(カーウォッチ86ポテンザED)、小野田貴俊(ネッツ東埼玉ワコーズED86)、そして松原怜史を従え、2組トップの手塚を上回ったことから、2戦連続でポールポジションを獲得。
「練習では頑張って走ってもタイムがあんまり出なかったから、予選は普通に走ったら、しっかりタイムが出た。なので、決勝も普通に走って前回の借りを返してもらおうと思っています」と松原亮二。なお、2組の2番手には河村直樹(N中京エリア86小牧BS86)、3番手に菱井將文(CUSCO BS 86)がつけていた。
さて、予選が終わった段階では、ほとんどのドライバーが天気に関して気にしていなかったようだが、予報では下り坂。さらに、日曜日には東海地方が梅雨入りして、朝から雨に見舞われると、パドックは騒然とした状況となる。
「降るとは聞いていたけど、まさかこんなに!」といった声や、「昼までには止むって言うけど、そうなってくれないとヤバい」という声が頻繁に飛び交っていた。実際、午前中に行われたクラブマンシリーズのBレースは、やや荒れ模様の展開となった。
だが、プロフェッショナルシリーズの決勝レースが行われる頃には、雨もあがり路面は、ほぼドライコンディションに。ホッと胸をなで下ろした者が大半を占めたが、なかには恵みの雨となることを期待していた者も確実にいたようで……。
そんななか、好スタートを決めて、トップで1コーナーに飛び込んでいったのは近藤。これに佐々木と青木が続くも両者は接触。ふたりともポジションを守ったが、後方ではやや混乱も。この隙に阪口が4番手まで順位を上げた一方で、近藤が一気に差を広げることとなる。そして、阪口に続く5番手には、予選15番手だった久保凛太郎(CG ROBOT BRZ BS)の姿が。なんとオープニングの1周だけで10台抜きを演じてみせた。
逃げる近藤を追いかけたい佐々木ながら、先の接触でリヤバンパーを傷め、ストレートで抵抗になっていたばかりか、背後には鬼の形相の青木が。4周目のストレートで青木は2番手に浮上する。この時点で、近藤と青木の差は3秒以上。
ところが、それから間もなく雨が再び降り始めてしまう。全車のペースが鈍るなか、誰より速く走っていたのは青木だった。青木は近藤との差を詰めっていったものの、わずかに届かず。近藤が逃げ切りを果たして初優勝を飾ることとなった。
「スタートが決まったのが、いちばん大きいですね。そのあとに後ろでやり合ってくれてリードを築けました。ただ、途中で雨が降ってきた時は、さすがにヤバいと思いましたね。青木さんが少しずつ近づいてきましたし……。前半のリードがあって良かったです」と近藤。なお、近藤はこの週末、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)にも出場。2戦ともにポール・トゥ・ウィンを達成し、なんとこの週末で3勝の荒稼ぎ。「自分でもビックリしています(笑)」と笑顔で語っていた。
一方、2位の青木は「恵みの雨になったのかな……。よく分からないけど、1コーナーのアクシデントがなければ、どうなっていたんだろうなとは思いますね。ただ、ここのところの流れを思えば、表彰台に上がれて良かったし、いい流れに変えられるような気も」とコメント。
青木と接触があった佐々木は、謝罪と反省しきりだった。阪口は4位でゴールし、ランキングのトップを死守。また、大躍進の久保は9周目のヘアピンでスピンを喫して11位と、あと一歩のところで入賞を逃す。5位は山田英二(CUSCO BS 86)が、6位は蒲生が獲得した。
一方、プロフェッショナルシリーズに先駆けて行われたクラブマンシリーズでは、依然ウェットコンディションのまま。ポールシッターの松原亮二が好スタートを決め、これに続いたのはダンロップコーナーで手塚を抜いていた小野田だった。勢いに乗る小野田は、3周目の1コーナーで松原亮二がアウトに膨らんだのを見逃さず捕らえ、トップを奪い取るも、それから間もなく雨足が強まってしまう。
これで完全に勢いを取り戻したのが手塚で、まずは4周目のヘアピンで松原亮二をパス。そして、次の周の300Rで小野田を抜いて待望のトップに浮上、そこから先はまさにひとり舞台だった。小野田をして「雨が強くなってからは、真っすぐ走るだけでも大変でした」と語らせるなか、最後は5秒差の圧勝となった。
「ここまで3位、2位と来ていましたから、みんなから言われる以上に僕が意識していました。実は予選も4位、3位と来て、今回2番手だったので(笑)。セットもタイヤも完全に雨想定で、最初はラインを確認するなど様子を見ていたんです。そのうち僕だけ行けるラインとかも見つかって。4輪に上がってから優勝は初めてなので、本当に何とも言えない、いい気分です」と手塚。
2位は小野田が獲得し、3位は最終ラップの最終コーナーで松原怜史をかわしていた、松原亮二が獲得。しかし、ランキングトップは依然、松原怜史がキープしている。