ルノーF1チームは低迷を続ける今シーズンのマシン開発をどのタイミングで中止し、2017年のマシンにリソースを割り振るかという「最も難しい判断」を迫られていると、チームのアンバサダーを務めるアラン・プロストが語っている。
今季ワークスとして復帰したルノーは、トップ10圏内でのフィニッシュが一度きりとなっており、コンストラクターズランキングでは9位。これより下位のチームは、いまだにポイント獲得を果たせていないザウバーとマノーのみという有様だ。
開幕前、ルノーの上層部は今シーズンは苦戦するだろうと明言していた。同じルノーのパワーユニットを搭載するレッドブルが競争力を発揮しているところを見ると、問題はルノーのシャシーにあるということになる。今後チームのリソースを、どこに割り振るべきかと聞かれると、4度のF1チャンピオン経験者であるプロストは以下のように答えた。
「それは最も難しい判断になる。現在のシャシーの出来は、当然ながら良くはない。『開発を中止して2017年に取りかかろう』という良い理由になる。しかし同時に、前進するためには理解が必要なので、開発を続けるということもあり得る。モチベーションと心理的な部分では、停滞することはチームにとって良くないので、とても難しい判断になる。この先、長くても3カ月ほどで状況がどうなるか、はっきりする。私の決めることではないが、難しい決断であることは理解できる」
プロストはレッドブルのスペインGPでの優勝(マックス・フェルスタッペン)と、モナコGPでのポールポジション獲得(ダニエル・リカルド)を受け、これほど早期にルノーがパワーユニットの改良を進めたことに驚いている。
「誰もが少々驚いたことだろう。特にシャシーに言えることだが、風洞実験では良い数字がでるにもかかわらず、コース上では同じように機能しない。ほとんどの場合良くないほうに異なって、良いほうに違いが出ることなど、まったくない。それが典型的な症状だ。ところがルノーのパワーユニットは、順調に改善している。驚きではあるが、それもまたF1ではよくあることなんだ」
「事態は変わる。決断すること、または決断しないことを対価に得るものもある。2~3年前の決断が現在に影響することもある。しかしルノーはパワーユニットの製造においてアドバンテージがあることを証明した。良い意味での驚きであり、とても前向きな要素だ」