世界ラリー選手権(WRC)では、マニュファクチャラーポイントシステムの改定が検討されており、参戦するチームからは意見が分かれている。
現行のポイントシステムでは、マニュファクチャラーポイントを獲得できるのは1チームにつき2台までとされており。3台目以降は別チームからのエントリーとなり、獲得するポイントも別チームのものとして計算される。
例えば、フォルクスワーゲンはセバスチャン・オジエ、ヤリ-マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンの3名をワークスドライバーとして起用しているが、オジエとラトバラはフォルクスワーゲン・モータースポーツからのエントリー。残るミケルセンはフォルクスワーゲン・モータースポーツIIからのエントリーで、獲得するマニュファクチャラーポイントは共有されていない。
また、ヒュンダイはダニ・ソルド、ティエリー・ヌービル、ヘイデン・パッドン、ケビン・アブリングの4名を起用。ヒュンダイ・モータースポーツとヒュンダイ・モータースポーツNの2チーム間で大会ごとにドライバーをシャッフルしている。
現在、検討が進められている新システムでは、各マニュファクチャラーは最大3名まで“ポイント獲得ドライバー”を指定。このうち上位2名のポイントがチームに加算される形だ。同様のシステムは2004年まで採用されていた。
フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のヨースト・カピートは、新システムが採用された場合、ミケルセンのような若手ドライバーを起用する余地がなくなるとの懸念を示している。
「新ルールが採用された場合、若手ドライバーを起用することは難しくなる。確実にポイントを獲得するにはベストなドライバーラインアップを構築する必要があるからね」とカピート。
「経験豊かなスペシャリストが必要となり、熟練のドライバーに頼らざるを得なくなる。そうなってしまうと、今のようにミケルセンを若手として起用し続けることは不可能になってしまうんだ」
一方、ヒュンダイ・モータースポーツを率いるミシェル・ナンダンは、新ルールを「いいアイデアだ」と評価。カピートとは反対の意見を述べている。
「(新ルールでは)シリーズに参戦するすべてのマニュファクチャラーが3台体制でエントリーすることになる。そうなれば、単純に選手権への参戦台数が増え、より多くのドライバーが必要になるはずだ」
FIAでラリーディレクターを務めるヤルモ・マホネンは、フォルクスワーゲン・モータースポーツIIやヒュンダイ・モータースポーツNがエントリーしていることで、ファンに混乱を招いているとコメント。その点では、新システムの方が受け入れやすいとしている。
「現在、フォルクスワーゲンとヒュンダイにはワークスチームが2つずつ存在している状況だ」
「まったく同じマシンが、ふたつのチームからエントリーしている。これでは初めてWRCを見るファンは混乱してしまうだろう」