5月23日、厚生労働省は「2015年人口動態計」を発表した。合計特殊出生率は1.46で前年より0.04ポイントあがったものの、人口を維持するのに必要な出生率2.08には程遠い。政府は昨年11月に発表した「新・三本の矢」で「希望出生率1.8」を掲げ、少子化を食い止めようとする姿勢をみせているが、依然として厳しい状況だ。
「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログが話題になったが、安心して子どもを産み、育てる社会にするにはやはり環境の整備が不可欠だ。一般財団法人1more Baby応援団が5月30日に公表した「夫婦の出産意識調査2016」(pdf)の結果によれば、76.9%の人が「できることなら『保活』はしたくない」と答えた。
保活以外にも「経済的な理由」や「仕事上の理由」で躊躇する人も
調査は結婚14年以下の既婚男女を対象に実施。20~39歳の女性、20~49歳の男性のあわせて2958人が回答した。実際に保活の経験がある人は全体の17.1%だったものの、「『保活』がなければ、もう一人子どもを持ちたい」と41.7%の人が答えている。
また、実際の出産予定とは別に「持ちたい理想の子どもの合計人数」を聞いたところ、48.7%が「2人」、29.3%が「3人」と答え、2人以上を希望している人は81.1%だった。これは2013年に調査が始まって以来最高だという。
歓迎すべき結果に見えるが、現実はそう甘くない。子ども2人以上を希望する人のうち73.5%が、2人目の出産には「壁」があると答えている。母親を対象に何を壁として感じるか聞いたところ、最も多かったのは、「経済的な理由」で84.4%。また、仕事をしている母親では、産休を取得しやすいかといった「仕事上の理由」(フルタイム:58.3%、パートタイム:52.2%)が多かった。
調査によれば、フルタイムで働く母親の90.1%が、「妊娠や出産、子育てに関する制度と企業風土が整っていれば、働き続けたい」と答えている。また、39.1%がそういった環境が整っていれば、「管理職を目指して働きたい」とも回答した。ワーキングマザーが働き続けられる環境を整備することが、少子化に歯止めをかける第一歩となりそうだ。
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