6月1日から、就活生の面接選考が解禁となった。街を歩けば、リクルートスーツに身を包んだ学生たちを数多く見かける。フレッシュな雰囲気を漂わせた就活生を見ていると応援したくなるものだ。
だが、よく見るとみな黒いリクルートスーツを着て、似たような髪型をしている。靴やカバンまでお揃いであり、少し不思議な印象も受けるが、そんな中、脳科学者の茂木健一郎さんがツイッターで日本の就活スタイルを批判し、反響を呼んでいる。
「リクナビやマイナビは今の『惨状』に責任を感じるべき」
6月3日、茂木さんは自身のツイッターで、就活生について全7回にわたる連続ツイート(連ツイ)をスタート。
それによると、茂木さんは2日、品川駅で20人くらいの就活中の女子学生を見かけた。彼女たちは白いブラウスに、黒いジャケットを着ているだけではなく、髪形やメークの仕方まで同じだったことに驚いたという。
しばらく街を歩いた茂木さんの目に飛び込んできたのは、授業が終わったばかりの女子大生たちだった。就活用に同じ格好をする就活生とは対象的に、学生たちは服装も髪の毛の色も色とりどりだった。
茂木さんは、「就活というマジックワードで、色とりどりから、白黒同じ髪型同じメークへの変貌が起こるのか、私は理解できないし、理解したいとも思わぬ」と、ツイート。さらに、
「リクナビにせよ、マイナビにせよ、あるいは就活生にリクルートスーツを売っている業者にせよ、今の『惨状』(敢えて『惨状』と言う)をつくっている責任を感じるべきだし、改善するための努力をすべきだと私は思う」
と、就活をビジネスにしてきた企業を批判。その後、
「就活のシステムをつくっている大人たちは、この国を、どうしたいのか。全体主義の国にしたいのか? 没個性の国にしたいのか? 日本の就活文化が良いなんて、ぼくは全く思わないし、こんな没個性の慣行は、一瞬でも早くぶち壊してほしい。そのための必要な行動をとるよう、現場の大人たちに要請する」
と強い言葉で連ツイを締めくくった。
面接経験者は「リクルートスーツの着用で採用を決めたことはない」
個性を殺す従来の就活のあり方を批判する茂木さんの考えに対して、ツイッターやフェイスブックでは様々な意見が書き込まれている。同意する人も多いようだ。
「(就活生が没個性的なのは)雇う側が『決まった基準をいかにこなすか』でしか評価できない無能という証明なのでは? 甲子園球児が全員坊主なのも同じようなことかと」
今まさに就活生だという人は、「その人の人柄や好みや普段の生活が滲み出るのは着なれない服ではないと思うのですが。個性を出せと言いつつ個性を潰す。大人になるって難しいです」と心情と吐露している。
一部からは「面接という大切な場にろくな服も着てこられないような人間の中身なんてまず興味ない」という反対の意見もあったが、大半の人は就活時に同じ格好をする現在の慣習に対して疑問を呈しているようだ。
面接を担当した経験があるという人は、「リクルートスーツを着てる着ていないで採用を決めたことは一切ありません。自分の頭で考えて何を話せるかが重要なんですもの」とコメント。採用を決める側である面接官の意見は心強い。果たして、就活生が同じ格好をせずに選考を受けられる日は来るのだろうか。
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