LINEやツイッター、フェイスブックなどのSNSユーザーは、今や若者だけではなく中高年にも広がっている。しかし人生経験は豊富でも、ネットは初心者。独特のトラブルを抱えてしまうケースもあるようだ。
6月2日放送の「ノンストップ!」(フジテレビ)が取り上げたのは、定年退職して5年の大谷雅史さん(仮名・68歳)のトラブル。彼は趣味である登山の様子をフェイスブックに投稿し、友だちから「いいね!」をもらうのを生きがいにしていた。
フェイスブックに「愛犬の亡き骸」を連投
ところがある日、友人から「花の名前が間違っている」と指摘され腹が立ち、激しいうんちく合戦が止まらなくなった。周囲のとりなしにも応じず、2人の争いに呆れてコミュニティを離れてしまう人も続出した。
結局、大谷さんは大好きな登山サークルをやめるはめに。貴重な友人を失くし、実生活でも孤立してしまう。中高年の場合、SNSの仲間は実際の友人である場合が多いというから問題は深刻だ。
特にシニア男性に多い炎上しやすいSNSの話題は「政治信条」や「歴史観」など。プライドが高く、自分の見識に絶対の自信があって譲らないため、一気に燃え上がってしまう。
ネット慣れしていない上に、リテラシー教育など受けていない世代。ネットトラブルの情報にも疎い。番組が調べたところ、子ども世代からのこんな困惑の声があった。
「孫の顔写真・名前・場所など、勝手に何度もツイッターに投稿してしまう姑。やめてくださいと頼んでも、『友だちしか見てない!』とやめてくれない」
「父親がフェイスブックに、愛犬の亡き骸の写真を何枚も掲載し、それを見た人から苦情が来た」
ガナルカナル・タカさんの妻、橋本志穂さんも、母親の死に顔をブログに掲載して炎上していたが、身内には哀切な写真でも他人には見るに堪えないこともある。
死後放置されたアカウントから「お誕生日メール」が届き…
亡くなった友人から、フェイスブックの「誕生日お知らせメール」が来て驚愕したお婆さんの話も紹介された。「今日は○○さんの誕生日です」という内容なのだが、
「光子さんが、私を迎えに来たのかと思って」
そう怯えるお婆さんは、自動お知らせ機能だと娘さんから説明され落ち着いたが、放置されたアカウントからは毎年届く。他の亡くなった友人からも届くようになり、「私もいずれこうなるかも…」とふさぎ込むようになってしまった。
これが原因で鬱になる人もいるというから、笑えない。他にも、政治的な意見を発信していた男性のコメントが、終戦記念日のたびに引用されて毎年炎上するなど、死後放置されるアカウントが引き起こす問題は少なくない。
運営するフェイスブック社はユーザーの要望を受けて、家族や友人からの死亡申請でアカウントの削除を可能にした。「追悼アカウント」で残して、故人を偲ぶこともできる。ただ、これも子どもに内緒でやっていればどうしようもなく、孤立した人なら整理のしようがない。(ライター:okei)
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