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生活保護費でパチンコは本当にアリなのか? NPO代表理事「何に使っても自由というのが前提」

2016年06月02日 14:41  キャリコネニュース

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生活保護制度とは、税金を使ってすべての国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものである。しかし、この「最低限度の生活」の範疇に「パチンコをする」というのは収まっているのだろうか?

「税金を使って賭け事など言語道断」(法的にはギャンブルじゃなくて風俗営業だけど)と考える人も多いようだが、実際に規制すべきなのか。5月29日の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)で激しく議論されていた。(文:みゆくらけん)

中田宏は反対「他の人の税金で暮らしているのに」

「パチンコはダメ、規制すべき」派の中田宏は、元横浜市長。税金を預かって行政に携わってきた人物だ。彼はその理由を、こう話す。

「他の人の税金で暮らしているのに、現金がなくなる可能性が高いパチンコに行くのは(いかがなものか)」

一方で「前提として生活保護費は何に使っても自由」と、パチンコ規制に反対するのはNPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典。「下流老人」(朝日新書)や「貧困世代」(講談社現代新書)の著書で最近話題の人物だ。

数多くの生活保護受給者の実態を見てきた藤田によると、大多数の受給者は毎月6~8万円で何とか切り詰めて暮らしている状況にあり、過度にギャンブルをしてしまう人は依存症であることが多いという。そのため使いみちの指導や規制以前に、治療の対象として支援しなければならないと話している。

確かに藤田の言うように、少ないお金しかないのにパチンコに走ってしまう人は、もはやギャンブル依存症といわざるを得ない。とはいえパチンコ代の元となっているお金が一生懸命働く他の国民の血税から出ていると考えると、眉をしかめたくなる人の気持ちも分からなくはない。

「モノの購入や観劇は対価だからOK」という区分けも

パチンコ以外にも、「生活保護でこれってどうなの?」とされている使いみちは多々ある。たとえば飲酒や、映画・観劇などの娯楽。元宮崎県知事の東国原英夫は「線引きは地域によっても違う」とし、宮崎でもクーラーや軽自動車の所持をどう判断するかの議論があったという(結局ともに認められた)。

この議論を聞きながら、ビートたけしは思わずポツリ。

「あいつ、生活保護なのに風俗行ってるってなると、ちょっと腹立つけどね」

笑い事でなく、実際ソコも微妙である。たけしは冒頭でもパチンコ問題について「難しい問題だよね。1週間、他のことを我慢して、やっとパチンコ行ったのに、それもダメっていうのはどうなんだい」みたいなことを言ってもいたが……。

中田は「観劇などは対価だからアリ、ギャンブルは対価ではないからナシ」としていたが、パチンコや風俗の対価を「楽しみ」「生きがい」とする考えもある。結局は、受給者のモラルの問題か。

また、東国原は生活保護費の使いみちに怒る人たちについて、こうコメントした。

「感情論に走ってはいけないと思うんですよ。通報するとかクレームを言う人間っていうのは、大体生活レベルが同じぐらいの人。生活保護10数万で『僕も一生懸命働いて10数万』という同じぐらいのレベルの人たちが(怒っている)」

「生活保護から抜けてパチンコしよう!」という社会にしないと

これはなかなかスパイシーなコメントだが、一理あるのかもしれない。頑張って働いている人の給料と、生活保護費がさほど変わらないというのは大きな問題だ。普通に働く人がバカらしくなるのも無理はない。でも、だったら感情論になっても当然ではないのか?

このコメントを受けて、中田は「(一般の人が)パチンコしている受給者をみて、『こっちは一生懸命働いているんだぜ』という感情に火を付けない社会にしないとダメ」とした上で、最後にまとめるようにこう話した。

「パチンコも含めて自由を持つことの喜びを、そこに向けて努力しようっていうモチベーションにつなげないと。生活保護でパチンコやるのではなくて、『生活保護から抜けてパチンコしよう!』っていう社会にしないと」

うん、本当にそう思う。ちなみに阿川佐和子は、パチンコについて「やってみると面白かったりするのよ!」と嬉しそうに話していた。え、まさかのパチンコ好き子さん?

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