働き盛りの中高年男性の「更年期障害」が急増しているという。5月26日放送の「あさチャン!」(TBS系)によると、中高年男性の発症率は実に6人に1人。国内では600万人もの患者がいると推測されている。
これまで更年期障害といえば、閉経前後の女性特有の症状とされてきたが、男性の場合も深刻らしい。番組が取材した男性更年期の専門外来があるクリニックでは、院長が「昨年度の1.5倍の患者が見えている。潜在的な患者は相当数いる」と明かした。(文:みゆくらけん)
原因は男性ホルモンの減少。生活習慣病の悪化も
この日、治療に訪れていたのは42歳の男性会社員。去年から突然寝られなくなり、めまいのような症状が続いているという。不調は体だけではなく、「急に不安感に襲われる」といった精神面にも及ぶ。
集中力も低下し、仕事の効率が落ちたことでさらに落ち込む。原因が分からないことには治療もできず、まさに悪循環のスパイラルだ。
「痛いとか骨折しているとかではないので、なかなか(周りに)相談できなくて、なおさら辛い」
クリニックで調べたところ、診断結果は「LOH症候群」。男性ホルモンが減少することで引き起こされる男性更年期障害であることがわかった。治療は男性ホルモンを補充する注射を行うことで症状を緩和させる。
中には、不調があってもそれが更年期障害だと疑えず、クリニックを受診しない人もいる。院長は症状を放置するリスクについて、「男性ホルモン低下により、内臓脂肪が増えて筋肉量が減ってくる。そうすると生活習慣病が悪化して、糖尿病と高脂血症、血圧の問題も出てくる」と話している。
たけしの悩み「1日3回ぐらい意見が変わる」
めまいや頭痛といった体の症状に出てくる人もいれば、やる気の低下やイライラなど精神面に出てくる人もいるのが更年期障害。鬱病と間違われやすいのも特徴だ。有名人では、テリー伊藤が「女性にも音楽にも、街の景色にもときめかない自分がいた」と過去の体験を振り返る。
ビートたけしも悩まされ、50歳過ぎの頃に「受ける」といった仕事の依頼をその日の夜に「やらない」と言い、また次の日の朝になって「やっぱりやる」と言うように、気分がコロコロ変わる自分に振り回されていたという。
「ひどい時には1日3回ぐらい意見が変わる。あぁ、これは絶対に体に異変が起きていることで考え方にも異変が起きている、とよく分かる」(2015年7月の新CM発表会見より)
やっぱりホルモンって凄い。たけしでも太刀打ちできないものなんだなァと思う。現在34歳女性の筆者も、ホルモン様の威力には毎月恐れおののいている。月経直前など、体も心もお肌も絶不調!イライラを解放すべく、「悪い子はいねぇーがぁ!?」となまはげのように人や物にブチ当たり散らしている。自分ではどうしようもない。
10項目のチェックリストで自己診断を
でも、こういうホルモンによる症状って女性は体験的に理解できても、月経のない男性には「受け入れ」がなかなか難しそう。「それ、更年期障害かもよ」って周りが気づかせてあげるのも優しさなのかもしれない。不調が更年期によるものだと知るだけでも、本人も周りも少しはラクになるものだから。
患者自体が増えているかどうかは分からないが、治療でよくなる人が多いことはいいことだ。さて、以下は更年期障害のチェックリスト。10項目のうち、自身に当てはまるものはいくつあるだろう。
1.総合的に体の調子が思わしくない
2.自分だけ暑かったり、汗をかいている
3.「あれ」「それ」などの言葉を多用している
4.仕事や家事のやる気が出ない
5.よくイライラする
6.ぐっすり眠れない
7.人との約束をよく忘れる
8.大好きだった趣味などに興味がなくなった
9.動悸や息切れが多くなった
10.頭痛・めまい・吐き気がよくある
3つ以上当てはまった人は要注意。6つ以上の場合、男性は泌尿器科、女性は婦人科で診てもらうことをおすすめする。
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