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杉並区の保育所建設予定地が公園で住民大反発 「待機児童ゼロ」を実現するためには仕方ないのか

2016年06月01日 19:41  キャリコネニュース

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今春、千葉県市川市に開園予定だった私立保育園が周辺住民からの反対にあって中止されていたことが判明し、話題となった。保育所設立にあたっては周辺住民からの理解が必要だが、今度は東京都杉並区に来春開園予定の保育所をめぐり、住民から反対の声があがっている。

反対派住民「老人がゲートボールをしたり、消防訓練をする場所として使われてきた」

杉並区の「待機児童解消緊急対策」のページによれば、今年4月の認可保育所入所申込者数は前年比約1割増となる約4000人。待機児童数も前年4月の42人から136人に増加した。そこで、2017年4月までに「待機児童ゼロ」を掲げている区は、同月までに認可保育所を14か所建設することを公表し、計画を進めていた。

しかし、それでも560人超の待機児童が発生する見込みとなった。区は、今月13日に緊急対策として新たに11か所の保育所設立をすることを発表したのだが、その保育所の建設予定地に公園が含まれており、物議を醸している。

5月31日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)では、29日に行われた近隣住民向けの説明会の様子を紹介。説明会には約300人が参加、6時間にも及んだ。区の計画では、久我山東原公園の3分の1を保育所として利用する予定だが、住民からは反対意見があがった。

「老人のゲートボール、それから消防訓練、いろんな形で使える広場として残してくださっている公園なんです」
「子どもたちが大きくなって保育園だけで暮らしているわけではありません。ぜひ東原公園は残してほしい」

「どっちが切羽詰まってるかと言ったら、やっぱり保育園」

一方で、区内の保育園に子どもを預けられず、新宿の認可外に通っているという母親は、小学生や幼稚園には校庭や園庭があると指摘。

「そのうえで公園も手放せないなんて、待機児童で苦しんでいる者から見たらなんてぜいたくで涙が出るほどうらやましいと感じています」

と訴えていた。このニュースには賛否両論の意見が相次いだ。ネットでも待機児童問題がこれだけ話題になっているため、公園の敷地でも建てるべきと考える人は多い。

「急いで保育所を整備する必要があるから区立の公園に作ろうという区の考え方理解できるけどなあ…」
「どっちが切羽詰まってるかと言ったら、やっぱり保育園の方だと思うんだけど。ボール遊びは学校のグラウンドでやったらいいじゃん」

一方で、反対派も保育所設立自体を拒否しているわけではない。ネットでも公園が予定地とされていることが説明会の時点でほぼ決定事項になっていたことを問題視する人が多かった。

「大きな公園を潰して作るって言ってるのが問題なんだよ。ボール遊びできる公園ってほとんどないのに、それを潰すっていうのがもう決定されかけてる。保育園をつくることに反対してるわけじゃない」

杉並区保健福祉課「民有地に保育所を建設しようとすると2年くらいかかってしまう」

ネットでは公園ではなく、空き家や空き地を活用すべきという意見も出ていた。何か他に策はなかったのだろうか。キャリコネニュースは杉並区保健福祉部の担当者に話を聞いた。今回は開設までのスピードを重視した結果、区の保有地を使うことにしたという。

「民間の土地を使う場合、保育所を運営する事業所と土地のオーナーが交渉をするなど壁があり、折り合いがつくまで時間がかかります。おおまかですが、土地の選定から始めて開園まで2年位でしょうか。区の保有地の場合はその半分の約1年です」

ただ、今回のように急に建設地を決定するのは「例外です」と説明。住民への説明が遅れたことに関しては、「区議会の承認がないと具体的に説明が出来なかった」ためだという。住民からは報道にあったように再検討を求める声も出ているというが、現時点では計画に変更はないとしている。

「基本的にこの計画で進めていく予定です。もちろん、住民のみなさまの思いは受け止めたいので、声を聞きながら進めていけたらと思っています」

区は保育所増設にあたって保有地以外に民有地も活用していた。区のサイト(pdf)でも「待機児童解消緊急対策」「お持ちの土地・建物を活用して保育所をつくりませんか」と呼びかけている。

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