フェラーリは、F1の予選で最大限の速さを発揮できない理由を、いまだに理解できずにいる。
セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンは、スペインGPの予選でのペースに疑問を抱き、その後のインシーズンテストでベッテルと育成ドライバーのアントニオ・フォッコが問題の解決に取り組んだ。
しかし、フェラーリはモナコGPでも苦戦。ベッテルはポールポジションを獲得したダニエル・リカルドに0.93秒もの差をつけられ、ライコネンはさらにコンマ2秒ほど遅かった。モンテカルロの狭く、コーナーの多い市街地コースではオーバーテイクの機会が限られる。ライコネンは序盤でクラッシュ、生き残ったベッテルも十分にペースを発揮できないままにレースを終えた。
チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは、予選で抱える問題について以下のように語っている。
「バルセロナのQ3とモナコの予選では速さが十分ではなかったので、言い訳はしたくない。レース中は学習をしつつ、その対価を払っていたようなものだ。何が問題なのかを、理解する必要が大いにある。モナコでのQ1は1分14秒610で、Q3では、ほとんどタイムを縮められなかった。そこに解決すべき問題があるということだ」
ベッテルは「バルセロナとモナコで学んだことがある。考えるまでもなく、予選でマシンを前方につけることができれば、日曜日は楽なものになる」と話す。
昨年の同時期にはトップのメルセデスに84ポイントもの差をつけられていたフェラーリだが、今年は67ポイント差で追っている。しかし今シーズンは3位のレッドブルに9ポイント差にまで迫られているのに対し、昨シーズンは3位のウイリアムズに77ポイントの大差をつけていた。
フェラーリはレースに勝てるだけのペースがあることを証明しているものの、いまだ勝利できずにいる。モナコでは今シーズン初めて、表彰台を逃す結果となった。しかし「タイトル獲得が困難になっていると感じているか」と聞かれると、アリバベーネは以下のように答えた。
「それはない。モナコでの(ダニエル)リカルドは非常に良かったし、(優勝した、ルイス)ハミルトンは調子を取り戻しつつある。我々がすべきことは、集中力を維持すること。焦点を曖昧にせず、前進することだ。今シーズンのチャンピオンシップは、かなり面白くなりそうだ」
<データで見る、フェラーリの予選>
ポールポジションと、Q3で上位につけたフェラーリのドライバーとの差は以下のとおり。カッコ内は、2015年のデータ。
オーストラリア:ベッテル3位 +0.838秒(ベッテル4位 +1.430秒)
バーレーン:ベッテル3位 +0.519秒(ベッテル2位 +0.411秒)
中国:ライコネン3位 +0.570秒(ベッテル3位 +0.905秒)
ロシア:ベッテル2位 +0.706秒(ベッテル4位 +0.852秒)※
スペイン:ライコネン5位 +1.113秒(ベッテル3位 +0.777秒)
モナコ:ベッテル4位 +0.930秒(ベッテル3位 +0.751秒)
※備考:2015年シーズンのロシアGPは、シーズン終盤の10月に開催