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SWANKY OCEAN ACOUSTIX、初リリースパーティをレポ パンクバンドが見せた“自然体”

2016年05月31日 15:01  リアルサウンド

リアルサウンド

SWANKY OCEAN ACOUSTIX(写真=Takashi Konuma)

 SWANKY OCEAN ACOUSTIXが5月27日、渋谷TSUTAYA・O-nestにて『『THE OCEAN』Release party』を開催した。


(関連:SPECIAL OTHERS ACOUSTICがライブで見せた、実験的でオーガニックな世界


 SWANKY OCEAN ACOUSTIXは、ポップパンクバンド・SWANKY DANKが2015年にスタートしたアコースティック・プロジェクト。インタビューでメンバーのKOHDY(Vo)が「いつもアコースティックで曲作りをしていて、そこでいろんなタイプの曲ができるわけです。(中略)そういった曲をSWANKY DANKではなく名前を変えて演奏してみるのも面白いんじゃないかって」と結成の経緯を語っていたように、楽曲制作のなかで自然発生的に生まれたプロジェクトである。(参考記事:http://realsound.jp/2016/05/post-7377.html SWANKY OCEAN ACOUSTIX、アコースティック界の“異端児”登場?「俺たちのフィルターを通すと、結局はパンクになる」)


 同公演は、プロジェクト初のアルバム『THE OCEAN』の発売を記念して行われた。オープニングアクトには、FIVE NEW OLDが登場。柔らかな歌声と伸びやかな演奏で、リリース前の最新曲から定番曲まで充実のセットリストを披露し、会場を盛り上げた。


 続けて、SWANKY OCEAN ACOUSTIXがステージに登場。メンバー全員が着席で演奏するという、リラックスしたスタイルでのパフォーマンスとなるようだ。KOHDYが「モッシュとダイブは禁止なんで」と、会場の笑いを誘いつつ、アルバムタイトル通り、海辺の気配を感じる「Silver lining」から本編がスタート。口笛から始まるカントリー調の「Breeze」は、TACO(G, Ukulele)によるウクレレの音色、KOHDYとYUONE(G, Cho)の美しいハーモニーが印象的だ。曲中のコール&レスポンスではフロアを横に揺らし、彼らの普段のライブとはひと味違う魅力を見せつけた。


 MCに続いて、SWANKY DANKのセルフカバー「Listen to the Radio」では、疾走感溢れるナンバーをアコースティックなアレンジで披露し、会場を沸かせた。続く3曲は、ゲストにストリングスを迎えてのパフォーマンスに。10年前に制作し、ようやく日の目を見たという「River」では、KOHDYが優しい声で<支えるから勇気出して my way 走っていこう>と、そっと背中を押す歌詞を歌い上げた。ITI(Per)のボンゴから始まる「Mamorihoshi」は、「その人がいなかったら音楽をやっていなかった」というKOHDYとYUONEの亡くなった叔父に向けた楽曲。そして、バンドにとって初めてのラブソングである「After」では、華やかなストリングスと共に観客に一足早い夏を感じさせた。



 本編最後のMCでKOHDYが、「今日は本当に集まってくれてありがとう」と改めてファンへの感謝を示した。「どういうふうに受け入れられるかな、と思いながらアコースティック(の曲)を作った。たくさんの人に聴いてもらえて嬉しい」と喜びの思いを語ると、観客の暖かい手拍子とコーラスの中、「水平線」を演奏し、ステージを去った。<照り返す光、夏の香り BGM波の音>という歌詞の通り、彼らが砂浜で陽気に演奏する光景が目の前に広がるようだった。


 アンコールではITIが最初に登場し、「手持ちの曲、全部やったくさくね? ってことは…」と振り向くと、「SWANKY DANKです」とメンバーが再びステージに登場。引き続きアコースティック編成で、SWANKY DANKのカバーを2曲披露した。原曲はギターリフが印象的でクールな「Hero」は、温かみのあるアレンジで披露され、観客との記念撮影後、YUONEのギターソロから「the answer」へ。サビ部分での観客のシンガロングでフロアが一体となり、会場全体が熱気に包まれながら初のリリースパーティは終演を迎えた。


 感情をストレートにぶつけ、観ている者を熱くさせる、普段のバンド編成とは趣を変えたSWANKY OCEAN ACOUSTIXでのライブは、シンプルな編成だからこそ、メンバーの歌唱力や表現力の高さが際立つものとなった。自然体で演奏する姿からは人柄の良さがにじみ出ており、ファンとの距離もまた一歩近づいたようだ。パンクバンド・SWANKY DANKとしてだけでなく、アコースティックスタイルも定着することで、彼らの存在が様々な音楽ジャンルへの新たな架け橋となることを期待したい。S(村上夏菜)