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TOYOTA GAZOO Racing、3台中2台が完走。10年目の挑戦を終える

2016年05月30日 20:51  AUTOSPORT web

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TOYOTA GAZOO Racing
5月28~29日に開催された第44回ニュルブルクリンク24時間レースには、日本からTOYOTA GAZOO Racingが3台を送り込んだが、SP-PROクラスのTOYOTA GAZOO Racing with TOM'Sが走らせた36号車レクサスRC Fが完走101台中24位完走、SP2TクラスのトヨタC-HRレーシングが総合84位/SP2Tクラス出走5台中3位、SP3Tクラスから参戦したレクサスRCはリタイアという結果となった。

■クルマの限界を知り、改善力を養うためのニュル挑戦
 TOYOTA GAZOO Racingは、2007年から「ふだんから世界の自動車メーカーが車両の実験評価に使用している『クルマづくりの現場』であり、本レースに参加した当社社員は耐久レースという通常のテストコースによる実験評価よりもさらに過酷な環境下で『クルマの限界を知り、改善力を養う』といった様々な経験を積む」べく、ニュルブルクリンク24時間に挑戦している。

 当初は『GAZOO Racing』としての活動だったが、トヨタがF1活動を終え、“グラスルーツのモータースポーツ活動”にシフトしはじめると、豊田章男社長を中心としてトヨタのモータースポーツ活動のなかでも最も力が入れられる活動となっていった。

 今季もTOYOTA GAZOO Racingは、決して総合優勝や順位を争うのではなく、あくまで過酷な環境下での経験を積むために3台の車両を投入した。社員のメカニックおよびエンジニア・車両評価ドライバーが参加し、日本のトップドライバーたちを揃え、3台それぞれが違う目的でレースに挑んだ。

■2台が完走果たす。トムスは総合24位を得る
 参戦1台のSP-PROクラスに挑んだレクサスRC Fは、日本の誇る強豪トムスが改良を加えたマシンで、土屋武士/片岡龍也/大嶋和也/井口卓人がドライブ。スーパーフォーミュラが同日開催だったが、ふだんSFやスーパーGTに携わる多くのスタッフもニュルへ向かい、レースに挑んだ。

 GT3カーに迫る速さをもつRC Fだったが、予選ではアタック中にトラブルが起き、トップ30予選への進出はならず。決勝では荒天のなか難しいコンディションとなったが、きっちりと走りきり総合24位で完走。1台参加のためSP-PROクラス優勝となった。プロのレーシングチームである名門トムスの面目躍如といったところだろう。

 一方、SP3Tクラスに参戦した188号車レクサスRCは木下隆之/松井孝允/蒲生尚弥というトリオがドライブした。しかし、途中駆動系トラブルが発生し、11時間の修復作業を終えコースに戻ったものの、リタイアを喫した。

 また、市販車発売前のトヨタC-HRのレース仕様車として参戦した326号車トヨタC-HRレーシング(影山正彦/佐藤久実/片山智之/ヘルヴィグ・ダーネ組)は、クロスオーバーSUV車ということもあってか予選通過153台中148位という結果に。ただ、決勝では粘り強く走り抜き、途中ガス欠でストップというシーンもあったものの、総合84位/SP2Tクラス出走5台中3位という結果を残した。

■10年目の挑戦終える。「これからも挑戦を続ける」
 今季、07年から活動を続けてきたTOYOTA GAZOO Racingのニュル24時間挑戦は10年目。毎年レース後、総合の表彰式が行われているかたわら、パドック脇で豊田章男社長を中心にスタッフたちが集まり、24時間走破を祝うのがこのチームの伝統。10年目の今年も、レース後祝杯をあげた。

「中古車のアルテッツァから始まったニュルへの挑戦も今年で10年目を迎えることができました。ドライバー、メカニック、サポートスタッフは1周でも多く走ることを目指して、それぞれの役割を果たし、心ひとつにたすきをつないできました」とチーム代表も務める豊田章男社長はコメントを残した。

「そして、この間、多くのクルマファンの方々がTOYOTA GAZOO Racingの活動を応援してくださいました。関係者ひとりひとりがどんな困難にも最後まで決してあきらめず、この挑戦に主役として携わってきたからこそ、10年続けることができたと思います」

「『もっといいクルマづくり』、そしてそれを支える『人材育成』に終わりはありません。『人を鍛え、クルマを鍛える』ために、これからもニュルへの挑戦を続けていきたい」