レッドブルF1チームの代表クリスチャン・ホーナーは、ダニエル・リカルドが勝利を逃す原因となったピットストップでのミスは、通常とは異なるガレージのレイアウトが原因だったと分析する。
モナコのピットレーンは他のサーキットよりも狭く、通常ピットウォールに設営されるチームの設備は、ピットガレージの上となる。リカルドがインターミディエイトからスーパーソフトへ交換するためにピットへ戻った際、チームはタイヤの準備ができていなかった。このピットでの遅れにより、リカルドはハミルトンの後ろでコースに戻ることとなった。
ホーナーによると、スーパーソフトがリクエストされていたことをクルーが把握しておらず、ソフトタイヤが準備されていたという。このため、リカルドがピットへ到着するまでに、スーパーソフトを用意することができなかったというのだ。
「1周早くウルトラソフトに交換したハミルトンは、最後までタイヤがギリギリもつかどうか、といった様子に見えた。それでリカルドには、もう一段階硬いタイヤを履かせることにした。その時点でガレージにどのタイヤが準備されているかという部分での伝達ミスがあったのだ。ピットウォールが2階で、当然ながらガレージは1階で、タイヤはガレージ内と裏とで温めていた。不運なことに、指示のあったタイヤはガレージの裏側にあった。もともとメカニックはソフトタイヤを準備していたため、混乱が生じた」とホーナーは説明する。
ガレージのレイアウトが通常どおりであれば、このようなミスはおそらく発生しなかったと考えているホーナーだが、モナコのレイアウトを責めるつもりはないと語る。
「言い訳はしたくないが、モナコのガレージの狭さを考えると、エクストリームウエット、インターミディエイト、それに3種類のスリックタイヤを、それぞれ2台分、同時に準備するのは明らかに厳しい。知らされてから30秒で準備をするという部分で、伝達ミスが起きた。いつもだったら、まったく問題にならないことだ。レースエンジニアが2階に座っていなければならないモナコは、全チームにとって難しいチャレンジだ。ガレージに、どのタイヤがあるのかを見ることができない。けれども我々は今回のミスがどのようにして起きたかを十分に分析し、二度と起こらないようにする必要がある」
リカルドはポールポジションからスタートし、レース序盤でトップを快走していた。しかし1回目のピットストップでリカルドがウエットからインターミディエイトに交換したときに、ハミルトンはコースが乾くまでウエットで走り続けることを選択。インターミディエイトを挟まずスリックへと変更した。このときリカルドは、まずハミルトンに先行を許している。スリックへの交換はリカルドがハミルトンよりも1周遅く、ピットストップに10秒以上の時間がかかった。それでもハミルトンのすぐ後ろでコースへ戻り、トップ奪還をかけてのバトルを演じた。
「遅れがあったにもかかわらず、隣り合わせで復帰した。ダニエルのインラップがどれほど速く、ルイスのアウトラップがどれほど遅かったかの証明だ。我々にできるのは、今日十分な務めを果たせなかったことをダニエルに謝罪するだけだ」