有休取得率が世界一低いといわれる日本。横並び意識が強く、自分の意思で同僚が休暇を取得することを「迷惑」と感じるメンタリティが根本的な原因とされるが、そのような文化や慣習をすぐに変えることは難しい。
そんな中、ポート株式会社が運営するキャリアパークが「会社に有給休暇廃止を望む労働者が増えてきている」という驚きの記事を掲載している。現状の有休制度は心身にストレスを与えているので、廃止によって「労働者の心の負担を和らげる」というのだ。
無給の休暇なら「周りから受けるストレスも随分減るはず」
政府が掲げる「有休消化率7割」の目標に逆行する内容だが、なぜ有休取得が労働者の「心の負担」となっているのか。記事は労働者が「休みを取る暇」がないほど忙しいこと、上司に休みを申請すると「嫌な顔をされる」こと、さらに自分が休むと同僚の負担が増えるので、
「迷惑がかかってしまうと謝りながら休暇を取る」
ことの3つを理由にあげている。労働者のリフレッシュを図るための有休制度が、かえって逆効果になっているという皮肉な実態だ。
そこで記事が提案するのが、有休を廃止して「通常の休暇」を増やす方法。通常とは「無給の」という意味のようだが、これなら休んでも上司や同僚から嫌な顔をされることもない。
「休んだらその分だけ会社からの給料が減るので、周りから受けるストレスも随分減るはず」
さらに記事は、真面目な労働者ほど有休を取りにくいので、「今のままでは休暇の公平性がない」とし、有休廃止は「労働者の声」とまで言っている。本来なら他人の休暇を妬む文化を変え、誰もが権利を行使しやすい世の中にした方がいいと思うのだが…。
現在の制度は「不真面目な人間ほど楽をする」?
あまりの「珍説」に、釣り記事ではないかと疑ってしまうが、同様の説を主張する人は過去にもいたようだ。BLOGOSには2013年8月に「『有給休暇制度』撤廃のススメ」という記事が掲載され、筆者の自由人氏はこんな主張をしている。
「真面目な人間よりも不真面目な人間ほど楽をするというような現在の有給休暇制度は、やはりどこか歪んでいると言わざるを得ない」
自由人氏は「有給休暇を遠慮なく取得する人に限って、仕事も不真面目という場合が多い」ことに我慢がならず、「『休むが勝ち』というような悪平等な休暇制度を廃止」して、一律で無給休暇のみという「従業員・経営者共にWin-Winの真っ当な制度」にすればいいという考えのようだ。
なお、この記事には67件のコメントがつき、「休みたい人が休めないだろ!」と反対する人がいる一方で、「思考実験としてはいい提案」「全面的に反対です」などと賛同する声も見られる。
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