2016年05月30日 10:32 弁護士ドットコム
「『店を回す』ということを最優先に考えてほしいです。『きついから』とか『学校が、家のことが・・・』とか皆同じですヨ!!」。アルバイトのシフトの空きが多いことについて、店長からバイトへの不満を伝える張り紙がツイッターで広まり、話題になった。
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店長は「スタッフ1人1人が店に対して、シフトに対して責任を持って動いて下さい」「お金をもらってますよね?だったら各自、それに似合う働きをして下さい」と、シフトの空き状況を踏まえた勤務を要求している。
この張り紙を伝えるツイートに対しては、「自分で考えてシフトが回るように動けない店長が何言ってるんですかね」「まず人を揃えてからの話」などのツッコミが入っている。
バイトの勤務に入る人が少ないからといって、どこまで責任を持つ必要があるのだろうか。竹之内洋人弁護士に聞いた。
「この張り紙の経緯が不明ですので、一般論で答えます。結論的には、バイトの勤務条件がどのようなものであり、店の要求がそれ以上なのか否かによります」
具体的にはどのようなことか。
「仮に週3日出勤という条件で契約したのであれば、バイトが働く義務はそこまでです。店が人手不足であり、週4日働いてもらわないと『店が回らない』としても、それは店の責任であり、バイトに追加勤務を『お願い』するのはありとしても、店が回らないから契約以上に働く責任があるなどということにはなりません。
人の生活を占めるのは仕事だけではありません。各人が学業など仕事以外の生活を踏まえて勤務日数を考え、それを店が承諾した以上、店が困っているから他のことを放り出しても仕事を最優先にしろ、とは言えません。
ただ、週3日働くという条件の契約で、『今週は週2日しか出ません』ということが続いたら、店側が、契約どおり週3日は出勤しなさいと要求することは正当です。
そういう条件で契約している以上、バイトには働く義務があります。また、契約どおりに働かない結果『店が回らない』ということになれば、契約違反ということで解雇されてもやむを得ないでしょう」
竹之内弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
竹之内 洋人(たけのうち・ひろと)弁護士
札幌弁護士会、日本労働弁護団員、元日本弁護士連合会労働法制委員会委員
事務所名:公園通り法律事務所
事務所URL:http://www.pslaw.jp/