フォース・インディアの副チーム代表、ボブ・ファーンリーが、FIAはコックピット保護デバイス「ハロ」の導入を遅らせるべきだと述べた。他の選択肢も含めて、より綿密な評価を行う必要があるというのがその理由だ。
FIAは、2017年のマシンデザインに取り入れるには時間的な制約があるため、レッドブルのエアロスクリーンではなく、ハロのコンセプトを選ぶことを明らかにした。ハロはフェラーリがプレシーズンテストで試したデバイスで、その改良版の安全性に関するテストが予定されており、すべてのテストに合格すれば、7月にはそのデザインが正式に承認されることになっている。
だが、ファンリーは英AUTOSPORTに対し、次のように語っている。
「徹底的な評価を行うべきだ。そして、あらゆる問題に対処できるかどうかわからないのであれば、導入を急ぐべきではないし、私自身はハロでは対処できない問題があると思っている。私の考えを言えば、入念な評価をした上で、あらゆる面で満足できるソリューションを採用したほうがずっといいと思う」
「(ハロには)大きな隙間がある。スプリングくらいなら、あるいは排水口の蓋であっても通り抜けてしまうような隙間だ。それを考えると、私にはハロが適切なソリューションだとされる理由がわからない」
「徹底的な評価をして、安全面での必要性を完全に満たすことを確かめたものを、2018年から導入してもよいのではかろうか。私には、そこまでして導入を急ぐ必要があるとは思えない。だが、これはあくまで私個人の意見だ」
これに対してニコ・ロズベルグは、ハロ導入の決定を歓迎している。
「木曜日には、排水口の蓋の一件もあった。ハロはあのような場合に役に立つ可能性があると思うし、実際に役に立ったかもしれない事例が、またしても起きたということだ。ハロの導入が進むべき道だろうね」
■ドライバーたちの反応
いっぽう、ロズベルグのチームメイトで、コックピット保護デバイスには反対してきたルイス・ハミルトンは、「ルールが変わるなら、それに従うしかない。僕らはみんな同じボートに乗っているのだから」と述べるにとどめた。
ルノーのケビン・マグヌッセンは、どちらかと言えばエアロスクリーンのほうを好むものの、安全性の面で何らかの対策が必要であることは確かだと語っている。
「ハロよりもエアロスクリーンのほうがルックスがいいと思う。ハロを導入するなら、テストで使ったものより、もう少しカッコいいものにしてほしい。F1は見た目もセクシーでなければいけないと思うけど、安全性の面から必要なのであれば、反対することはできない」
「とてもむずかしい選択だね。正直に言って、あの手のデバイスを好きにはなれないけど、僕だって死にたくはないし、仲間の誰かが死ぬのも見たくない」
マクラーレンのフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは、どちらを選ぶにしても、FIAの決定を支持すると述べた。
「実際に試してもいないのにコメントするのは難しい。FIAがハロを選んだのは、もうひとつの案と比べて、何らかのアドバンテージがあると考えたからだろう。僕はその判断が正しいと信じるよ。できれば、なるべく早いうちに自分でも試してみたい」と、アロンソは言う。
また、バトンは次のように語った。「FIAを信頼しようじゃないか。これまで何度も証明されてきたように、(ドライバーの頭部の保護は)現在のクルマで安全面でのアップグレードが必要とされている唯一の部分だ。僕はFIAを信じているし、誰もが首を傾げるようなおかしな判断でさえなければ、彼らを全面的に支持するよ」