今年のF1モナコGP決勝の注目点は、ふたつある。ひとつはポールポジションからスーパーソフトタイヤでスタートするレッドブルのダニエル・リカルドと、予選で2台そろって燃料ポンプに不具合が発生していたメルセデス勢のペースがどうなるか。もうひとつは、天気だ。
まず、リカルドのペースについて。Q3に進出したトップ10ドライバーは、Q2で自己ベストタイムを刻んだときに装着していたタイヤでスタートしなければならない。そして、Q2ではリカルドのみ、ウルトラソフトではなく、スーパーソフトを使用してベストタイムを記録した。
当然ながら、ウルトラソフトよりもスーパーソフトのほうが硬いコンパウンドなので、長い距離を走ることができる。つまり、リカルドがポールポジションからトップを走行する場合、2番手以下のドライバーが先にピットインすることになる。そうなると第1スティントのリカルドのペースしだいで、後続のドライバーたちの判断が分かれる可能性がある。
リカルドのペースを左右する要素のひとつが、メルセデス勢だ。もしニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンが予選で起きた問題を解決し、決勝ペースでリカルドを上回るようなら、逆転のチャンスはある。逆に、ウルトラソフトでスタートするメルセデスの2台が、スーパーソフトを履くリカルドに追いつけないようなら、かなり厳しい戦いになるだろう。
ちなみにピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラによれば「ウルトラソフトは30周前後、スーパーソフトは50周以上もつ」という。
もうひとつ気がかりなのは、天候だ。木曜日から晴天が続いていたモナコだが、日曜日は午前中に雨が降るという予報。ホンダの長谷川総責任者は「午前中は雨が残るようですが、レース中は降らないようです」と見ている。もしレース中に雨が降らなくとも、午前中に降った雨で濡れた路面はスタートまでに乾くかどうか……。
なお、予選前にギヤボックスを交換したライコネンは、予選6位から5番手降格となり、11番手からスタートする予定。Q1で予選通過ラインとなる「107%タイム」をクリアしないまま終わったマックス・フェルスタッペンとフェリペ・ナッセについては、レース審議委員会がフリー走行でのタイムを考慮して、2台ともレースへの参加を認められている。クラッシュを喫したフェルスタッペンは新シャシーに交換するため、ピットレーンからのスタートとなるようだ。
トロロッソのダニール・クビアトは予選後にフロアの荷重テストをクリアできず、スチュワードに委ねられた結果、「マシンにダメージがあり、ダウンフォースを失っていた」というチームの言いぶんが認められ、ペナルティを免れた。
また、予選Q1セッション中に、ピットレーン出口の赤信号を無視したため審議となっていたケビン・マグヌッセンは、ダッシュボードに赤信号が正しく表示されていなかったことから、同じくペナルティは科されなかった。