スーパーフォーミュラがさらに面白くなりそうな新計画が発表された。スーパーフォーミュラを主催するJRP(ジャパン・レース・プロモーション)が第2戦岡山の定例会見で、第4戦ツインリンクもてぎ(8月20日決勝)でのタイヤ2スペック導入計画を明らかにしたのだ。
予選では1秒差の間に10台近くのマシンが入り、超僅差のタイムバトルが行われている現在のスーパーフォーミュラだが、決勝レースに目を移すとその僅差が仇となり、オーバーテイクが難しく、抜きつ抜かれつの戦いが少なすぎる点が課題となっている。
エンジンはトヨタ、ホンダが開発競争を行っているが厳しい規定でエンジンだけで大きな差にはなりづらく、タイヤ、マシンがワンメイクなため、各チーム差、クルマごとの性能差が出づらい。
さらに、F1に次ぐラップタイムの速さを誇るカテゴリーとして、スーパーフォーミュラはF1の下位チームのマシンにも匹敵するほどの中高速コーナーの速さがウリになっているが、ダウンフォースの大きさは裏を返せばオーバーテイクの少なさにも直結してしまう。そのオーバーテイクの少なさという課題を改善するためにJRPが打ち出したのが、タイヤの2スペック制だ。会見で倉下明JRP社長が述べる。
「4月から私は現在の社長に就任しましたが、この2スペック制は前任者の白井(裕)から進めていたプラン。今年からパートナーとなって頂いたヨコハマタイヤさんにも、その点を協力を頂けるので、スーパーフォーミュラを面白くする千載一遇のチャンスだと思っています」
倉下社長の発言を受けて、スーパーフォーミュラのタイヤ開発を担うヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナルの開発本部長、秋山一郎エンジニアも2スペック目のタイヤ開発について語った。
「現在のタイヤも今年の開幕戦に向けて間に合わせたもので、開発期間については時間切れの感があって満足はしていませんが、JRPさんから、もてぎ戦で第2スペックを入れて、変化のあるレースを行いたいという話を伺いまして、我々もタイムにもっと貢献できるようなタイヤを作りたいという思いもありますので、もてぎ戦をターゲットに開発をしている状況です」
すでに、開幕戦後に富士で行われたエンジンメーカーテストでソフトタイヤを試したというが、まだまだ開発は必要とのこと。今回の岡山戦後に予定されている富士テストでも2スペック目のソフトタイヤを試すことを明らかにした。
第4戦もてぎでの第2スペック導入の際には、JRPはレギュレーションの変更も視野に入れている。現行タイヤは開幕戦の鈴鹿でも無交換で走り切り、現場からは「もう1レース走り切れるのでは」と言われるほどタレが少なく、もてぎでも無交換で走り切れる可能性が高いが、スポーティングレギュレーションを改訂して、F1のようにレース中の2スペックのタイヤ使用義務を設ける方向で調整しているという。
種類の異なるタイヤが増えれば、確実にレース戦略の幅は広がり、タイヤのタレが大きくなればオーバーテイクのチャンスは増えることになる。タイヤ自体の開発はまだまだ時間が必要とのことで秋山エンジニアは慎重な姿勢を崩さないが、ヨコハマタイヤに懸けられている期待は大きく、タイヤの2スペック導入は現場のチーム、ドライバーからも賛同の声が多い。2スペック制が機能すれば、今年のスーパーフォーミュラはますます面白くなることは間違いない。