F1モナコGPから禁止されることになっていた、ヘルメットの捨てバイザーに関するルールが早くも変更となった。
当初FIAは「コクピットからコース上に投げるという行為をモナコGPから禁止する」予定だった。投げ捨てられた捨てバイザーがブレーキダクトやサイドポンツーン内に入り込んで、マシンの信頼性を損ねないようにするためだ。そうなると、ドライバーはピットストップの際に剥がして捨てるか、コース上を走行しているときは、コクピット内に捨てるしかない。
だが、その後、捨てバイザーが「可燃性」であることが指摘され、コクピットに捨てるのは逆に危険だという意見が出され、FIAは再考を余儀なくされた。そして木曜日のドライバーズミーティングで話し合い、「投げ捨ての禁止は強制ではないが、ドライバーたちは捨てバイザーの使用を最小限にとどめる努力してほしいということで合意がなされた」と、FIAが発表した。
しかし、この発表では曖昧な部分が多すぎる。ある情報筋に確認したところ、モナコGPでの捨てバイザーに関するルールは、以下のように決定していることが判明した。
1:コース上に捨てることができるバイザーは2枚まで
2:ピットストップの際に1枚、捨てることができる
1ストップ作戦の場合は、コース上で2枚とピットストップ時に1枚、合計3枚を捨てることが可能というわけだ。
ただし、コース上で3枚以上を捨てた場合のペナルティについて、モナコGPでは「問わない」ことになっている。また、このルールはとりあえずモナコGPのみ採用し、カナダGP以降は再び話し合いとなる予定だ。
安全性の向上を絶え間なく図っているFIAの尽力は、評価したい。しかし、ルールを変更するのであれば、その前に十分な議論を重ね、変更する時期と内容を、すべての人々に対して明確にする必要があるのではないか。ハースのロマン・グロージャンはモナコGP前に捨てバイザーの投げ捨て禁止が明らかにされたとき、こんなコメントをしていた。
「開幕戦から禁止されていたと思っていた!」
そもそも、この規則は2016年の開幕戦から適用される予定で、チームに対策を講じる時間を与えるため導入が延期されていたものだった。