F1モナコGPの金曜日、コクピット保護デバイスについて大きな決定が下されるかもしれない。
当初FIAとF1チームの首脳陣は、2017年から導入するコクピット保護デバイスを、どのタイプにするかという決定を今年6月末までに行うことで合意していた。
現在、開発中のF1コクピット保護デバイスは2種類ある。ひとつはプレシーズンテストのカタルニア・サーキットで、フェラーリが試した「ハロ」(実際の発音は「ヘイロー」に近い)と呼ばれるもの。もうひとつは、ロシアGPフリー走行でレッドブルがテストした「エアロ・スクリーン」だ。
しかし4月下旬に、FIAと各チームは2017年から車体に関するテクニカルレギュレーションを大きく変更することで合意し、翌年に向けたマシン開発を例年以上に早くスタートしなければならなくなった。つまり、2017年からコクピット保護デバイスを導入するのであれば、6月末まで待つことができない状況なのだ。
そこでテクニカル・ワーキング・グループ(TWG)による会議が、急きょモナコGPの金曜日に開かれることになった。TWGは各チームの技術部門の代表によって構成されており、多くの場合はテクニカルディレクターが出席する。
今回「ハロ」を推すフェラーリからは妻を亡くして休暇をとっていたジェームス・アリソンが開幕戦以来、6戦ぶりに姿を見せた。おそらくTWGミーティングに出席するためだろう。また、レッドブルはチーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイが久しぶりにグランプリへ帯同しているが、チーム関係者によれば「エイドリアンは会議には興味がなく、チーフエンジニアリングオフィサーのロブ・マーシャルが出席する」という。
問題は、どちらを採用するにしても2017年に導入するには課題があることだ。たとえば「ハロ」は2009年ハンガリーGPでフェリペ・マッサの頭部を直撃したような小さなパーツまでは防御できない。一方「エアロ・スクリーン」は前車から排出されるオイルなどによってスクリーンが汚れた場合、どのように視界を確保するかが課題となっている。
もうひとつコクピット保護デバイスとしては「キャノピー」も検討されていたが、FIAのあるスタッフは「クローズドコクピットとなるキャノピーを採用することはない」と可能性を否定している。
いずれにしてもFIAのスタッフは「2017年に導入することを目指している」と明言。モナコGP初日に、側溝の蓋が舞い上がって、ジェンソン・バトンのマシンを直撃するという事故が発生したことも、導入を後押ししている。
モータースポーツは、いつ、どこで、どんな事故が発生するか、わからない。どんな結論が出るにせよ、政治的な駆け引きによって、議論が歪められないことを祈りたい。