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童夢、新社屋完成式典でKCMGや織戸学との共同プロジェクトを発表

2016年05月27日 13:51  AUTOSPORT web

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5月25日に完成した童夢の新社屋
5月25日、かねてより建設中だった株式会社童夢の新社屋が竣工し披露式典が行われた。昨年7月、カリスマ創業者であった林みのるが現役引退すると同時にに米原市三吉の工業団地内にあった旧社屋は東レに、風洞実験施設はトヨタに売却。残された形になった株式会社童夢は、高橋拓也新社長が率いて活動を継続、FIA-F4シャシーの製造やスーパーGT用マザーシャシー開発などの業務を引き継いで活動してきた。

 これまで営業は旧社屋の一部を借り受けていた行っていたが、並行して米原駅近くの梅ヶ原に用地を買収、新社屋の建設を進めてきた。このほど新社屋が竣工し旧社屋から機能移転を完了して披露が行われたもの。

 新社屋落成披露式典の席上、高橋社長は「これをもって童夢の第2章が始まる」と宣言するとともに、新体制での新たな一歩として、KCMG (CEO:ポール・イップ、本社:アイルランド)とカーボンコンポジット事業について業務提携することを発表した。

 KCMGはすでに台湾でカーボンコンポジット製造の大規模生産拠点を経営しているが、「設計力・技術力」を持つ童夢に「考える拠点」として機能することを望んでいるという。童夢の持つ先端のカーボンコンポジット技術に関するノウハウを得たKCMGは、年内に敷地面積51ヘクタール、従業員数5000人に及ぶ世界最大のカーボンコンポジット製品生産工場に改めて着工する。これにより、童夢とKCMGは世界規模でカーボンコンポジット産業のリーダーシップを握る計画である。

 一方童夢は従来通りレーシングカー開発を継続していく考えを示し、織戸学との共同プロジェクトとしてマイクロ・フォーミュラカー「チーター」を開発中であることを公表、プロトタイプの鋼管スペースフレームシャシーを展示した。チーターは今年中にプロトタイプがテスト走行を開始する予定でいる。

 また、FIA公認を取得したカーボンコンポジット製スポーツシートの販売を開始、すでに実戦に投入されている。SUPER GT向けマザーシャシーの組み立て、FIA-F4シャシーの修理およびメンテナンスを含め、「小回りの利く」特殊車両開発も従来通り、新社屋を拠点に行われる。「童夢の根底には日本製レーシングカー開発にあり、それをやめる気はないし、誰にも負けるつもりはない」と高橋社長は語った。

 「DOME2.0~Time to move on~」と銘打たれた新社屋竣工式をもって、童夢はバージョンアップし、新体制での本格的な活動に入った。