ジュール・ビアンキの遺族が、FIAとマルシャ、そしてFOMを提訴する意向を固めた。
ビアンキは、2014年の日本GPの決勝レース中にコースアウトし、ランオフエリアでエイドリアン・スーティル車の事故処理をしていた重機にマシンごと激突、頭部に深刻なダメージを負い、意識が戻ることなく2015年7月に亡くなった。
ビアンキの父フィリップは、遺族を代表して声明を発表している。
「私たちはジュールのために正義を求めます。なぜあの日アクシデントが起こったのか、その事実を明らかにしたいのです」
「家族としても、まだ多くの疑問が解決できないままでいます。そして一連の間違いがなければ、ジュールの事故と死から免れることができたのではないかと感じています」
事故については、FIA事故調査委員会が396ページにもおよぶレポートを作成。そのなかで、クラッシュしたビアンキによる、コントロールを失わないための減速が十分ではなかったと記されている。
一方で遺族の弁護人を担当するスチュワート法律事務所のジュリアン・チェンバレン氏は、「ビアンキの死は避けられた」と語っている。
「FIA調査委員会の報告書は、F1の安全性向上に関して数多くの提言を記載していますが、ジュールの死を招いた問題を特定するまでには至っていません」
「ジュールを非難したFIA調査委員会の結論は、遺族にとって驚くべきことであり、同時に痛ましいことでもあります。遺族は今回、法的処置を行うことで、真実が白日のもとにさらされ、関係者がすべての過失に対して責任を持つことを強く信じています」
「もし現役のドライバーや未来のドライバーが、安全性を一番に考えているならば、今回の一件は重要なケースとなります。そして、もしそれがあのとき鈴鹿で実現していたのなら、彼は今でも生き続け、彼が愛したスポーツで戦い続けていたでしょう」
ビアンキの遺族は、ビアンキに非があったことには賛同せず、現在は若いドライバーへのサポート、そして安全性向上のための基金活動を行っている。