ピレリが2016年から新しくF1タイヤのラインアップに加えた「ウルトラソフト」が、モナコGPの週末に初めて実戦投入された。注目されるのは、そのグリップ力だ。フリー走行1回目、ルイス・ハミルトンが記録したトップタイムは1分15秒537は、昨年フリー走行1回目のニコ・ロズベルグ1分16秒528を約1秒も上回っている。ピレリのコンパウンド間のタイム差は約1秒だと言われているが、昨年フリー走行1回目のロズベルグのタイヤはソフトだったことを考えると、ウルトラソフトのコンパウンド自体のグリップ力は想定よりも高くはないのかもしれない。
驚くべきは、その持続性だ。メルセデスはフリー走行1回目をウルトラソフトで走行しつづけた。ハミルトンとロズベルグは2セットずつ使用し、2セット目のタイヤでハミルトンは17周(10周+1周+1周+5周)を走り、ロズベルグはトータル25周(12周+1周+1周+1周+10周)を走破した。
これが意味するのは、今年もモナコGPの決勝は1ストップが主流になる可能性が高いということだ。ここ数年、モナコではスーパーソフトとソフトタイヤの1ストップ作戦が採られてきた。今年ウルトラソフトが登場して、どのような変化が生じるか注目されたが、フリー走行1回目でのメルセデスのロングランペースを見る限り、今年も1ストップは十分可能なようだ。
この件について、ピレリのレーシングマネージャーであるマリオ・イゾラも次のように語っている。
「これまでにウルトラソフトを使用したのは、プレシーズンテストとスペインGP後のバルセロナ・インシーズンテストの2回。いずれもカタルニア・サーキットだったので正確な判断はできないが、過去のデータと比べると、モナコでも25周から30周は走ることができると予測している。スーパーソフトは約50周走り続けることが可能なので、そうなると今年も1ストップが多くなるだろう」
ウルトラソフトでも1ストップ作戦が可能だとわかった、モナコ初日。今後、各チームいかにウルトラソフトでマシンをセットアップしていくかがポイントとなる。今回モナコに最も多い10セットのウルトラソフトを持ち込んだのは、メルセデス2台、レッドブル2台、そしてルノーのケビン・マグヌッセン。彼ら5人は、そのアドバンテージを活かすことができるだろうか。