ロシアGP、スペインGPと2戦連続でポイントを獲得したマクラーレン。エリック・ブーリエが「フロントウイング、フロア、リヤウイング、ブレーキダクトなどマシン全体の空力パッケージを一新した」と語ったとおりの大型アップデートだったが、残念ながら、フロントウイングだけはひとつしか間に合わず、スペインGPではジェンソン・バトンが使用した。その理由をブーリエは「中国GPで新パーツがひとつしか用意できなかったとき、フェルナンド(アロンソ)が使用したため、今回はジェンソンに優先権があった」と説明している。
その新フロントウイングに近づいて見てみよう。2枚のアッパーフラップの内側に切れ目が入り(写真:赤の矢印)、翼端板内側のカスケードウイングの内側のフィンに、もう1枚小型のフィンが追加されている(写真:水色の矢印)。また、メインフラップ翼端板側のフラットな部分が広くなっている(写真:紫の矢印)。
ただし、このフロントウイングを使用したバトンはスペインGPの週末を通してセットアップ作業に悩み、予選ではアロンソにコンマ2秒及ばなかった。レースではニュータイヤのグリップを利用してスタートダッシュを決めたものの、ロングランではアロンソのほうが安定して速く、苦しいレースとなった。バトンはスペインで、なんとか9位入賞を果たしたものの、新フロントウイングの効果を評価するには、もう少し時間が必要かもしれない。