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菜々緒が明かす、ドSや悪女役がハマる理由「ハードルが高ければ高いほどやりがいがある」

2016年05月25日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

菜々緒

 二階堂ふみと山崎賢人がW主演を務めるラブコメディ『オオカミ少女と黒王子』が5月28日に公開される。八田鮎子による人気少女コミックを原作に、『さよなら歌舞伎町』『ストロボ・エッジ』の廣木隆一監督がメガホンを取った本作では、恋愛経験ゼロなのに彼氏がいると見栄を張る“オオカミ少女”の篠原エリカ(二階堂ふみ)と、見た目はイケメンなのに中身はドSな“黒王子”佐田恭也(山崎賢人)の、ウソから始まる恋模様が描かれる。今回リアルサウンド映画部では、恭也を上回るドSぶりを発揮する恭也の姉・佐田怜香役の菜々緒にインタビューを行なった。これまでドSや悪女といった役柄を多くこなしてきた菜々緒は、イメージ通りの役にどう挑もうとしたのかーー。二階堂ふみや山崎賢人との撮影時のエピソードや、自身の恋愛についてまで、じっくり話を訊いた。


参考:菜々緒による山崎賢人ビンタシーンのメイキングも 『オオカミ少女と黒王子』16分のSP映像公開


■いま飛ぶ鳥を落とす勢いの山崎賢人くんをぶん殴っていいのかと思った(笑)


ーー今回菜々緒さんが演じられた怜香は、“ドSなお姉さん”ということで、菜々緒さんにとってはハマり役という感じでしたね。


菜々緒:原作の漫画を読んで、「あ、なるほどな」と思いました(笑)。あと、キャスト情報が発表された時の原作ファンの方々の反応が、「待ってました!」「菜々緒さんでよかった!」という感じだったので、それがものすごく嬉しくて。原作の八田鮎子さんにも怜香の役は私にやってもらいたかったとおっしゃっていただいたり、パンフレットにもプロデューサーさんのコメントで「菜々緒以外に考えられなかった」と書いてあったのもすごく嬉しかったですね。


ーー実際に怜香役を演じてみていかがでしたか?


菜々緒:非常にしっくりきましたね。ドSという強いキャラクターではありつつも、姉として弟の彼女を気にかけるような温かいところも持ち合わせている役柄だったので、そのあたりも演じがいがありました。今まで演じてきたドSや悪女と比べると、今回は全然マイルドですね。人を殴るのも平手ですし、拳銃やナイフも持っていないので(笑)。ドSと言っても、言葉遣いは罵るのではなく説教をする感じなので、非常に愛がある役だと思います。ドSだけど愛がある。その2面性をしっかりとお芝居で伝えようとしました。


ーー廣木監督から役作りに関して何か注文やアドバイスはあったんですか?


菜々緒:原作から受け止めた私の怜香のイメージと監督が思い描いていた怜香のイメージが結構近かったので、注文やアドバイスはあまりありませんでした。でも「もうちょっとドSを足したほうがいいんじゃない?」みたいなことは言われましたね。廣木監督とは初めてのお仕事だったんですけど、カットカットで区切らずに一連で撮っていくようなシーンが多かったので、自分の気持ちが途切れることなくお芝居することができたのがすごく印象的でした。私は2日間だけの撮影だったんですけど、フィーリングが合うというか、非常に居心地がよくてやりやすかったです。


ーー菜々緒さんはお兄さんがいらっしゃいますよね。お兄さんとの関係が役柄を演じる上で役立つことはありましたか?


菜々緒:兄は人見知りというか、家族とは一定の距離を置く人なので、怜香と恭也の関係とは真逆なんですよね。仲が悪いわけでは全然ないんですけど、手を出すとか会計を払わせるとかはなくて。怜香と恭也が両親のことを話すという、映画ではカットされてしまったシーンがあったんですけど、そういうこともなかったので、役として作り上げた部分が多かったです。でも、実際にこんな弟がいたら大変ですよね(笑)。こんなかわいい弟、私も欲しいです。飛ぶ鳥を落とす勢いの山崎賢人くんをぶん殴っていいのかと思いながらやっていましたけど(笑)。


ーー山崎さんとの共演はいかがでしたか?


菜々緒:恭也のような強めのキャラクターを山崎くんが演じているのを今まで観たことがなかったから、「おぉ!」と思いました。こういう役もできるんだって。お芝居ももちろんいいんですけど、やっぱりルックスがいいので、完成した作品を試写で観た時に、山崎くんとふみちゃんのキレイな顔をもっと映せばいいのにって思いましたね(笑)。山崎くんは結構無口な印象だったんですけど、実際はすごく明るくて。撮影中にとにかく『スター・ウォーズ』を勧められたんですよ(笑)。「すごく面白いんで絶対観てください!」って。つい最近も会う機会があって、「『スター・ウォーズ』観ました?」て聞かれたんですよね。とにかくやたらと『スター・ウォーズ』をオススメしてくるイメージがあって(笑)。あと、すごい天然なんですよ。控室で山崎くんと一緒になった時、携帯が鳴って山崎くんが電話に出たんですよね。で、電波が悪かったのか声が聞こえづらかったのか、ひたすら「もしもし」を言い続けていて。それも2分間ぐらい、全然諦めないんです。普通、1回切ってかけ直すとかするじゃないですか。山崎くんは全然切らなかった。ずっと「もしもし。もしも~し。も~しも~し」とか言い続けていたので、さすがに私も反応しないわけにはいかないなと思って「えっ? 繋がらないんだよね?」ってツッコミました(笑)。


ーー(笑)。二階堂さんはいかがでしたか?


菜々緒:ふみちゃんはこのお仕事をしている中では最近1番よく会う子なんですよ。連絡先を交換してから、ランチや夜ご飯を一緒に食べに行ったり、ヨガに一緒に行ったりするようになって。私は最近あまりそのヨガには通えていないんですけど、ふみちゃんは「あれからまだ行ってます!」って言ってて、意外にアクティブなんだなと思いましたね。雰囲気はホワホワしているけど、結構真面目な話をしたりもするんです。すごく頭のいい子です。ふみちゃんが演じる役柄はこれまで結構ドロドロするようなものが多かったですけど、今回のエリカはこれまでと違う感じで本人もすごく楽しんでいましたね。本当にかわいい妹みたいな存在です。ふみちゃんも山崎くんも本当にかわいいですよね。「ギュー」ってしたくなります(笑)。


ーー二階堂さんとのケーキバトルのシーンは印象的でした。


菜々緒:私もケーキとか甘いものが好きでよく食べるんですけど、バイキングとかはあまり行かないんですよね。物足りないぐらいがちょうどいいと思っているので。それは恋愛も一緒で、「ちょっと物足りないな。もっと欲しいな」と思ったところで我慢をしておくと、また次が楽しみになる。ケーキをずっと食べ続けたり、恋人と毎日会ったりって、飽きるじゃないですか。だから次の楽しみのために我慢するんですよ。


■ドSや悪女のイメージがつくことは、全然悪いことだと思っていない


ーー映画の中では、エリカから恋愛相談をされますよね。菜々緒さんご自身は恋愛相談をされることはあるんですか?


菜々緒:そうですね。割と話を聞くほうが多いです。その人の立場を考えながら、もっとこうしたほうがよくなるかもねというようなアドバイスをすることはありますね。でも、私は考えが結構変わっているので、アドバイスになっているのかわからないですけど(笑)。


ーー考えが変わっている?


菜々緒:取材などでも恋愛のことについて聞かれることがよくあるんですけど、私が答えることのうち、8割ぐらいは変わってるって言われるんです(笑)。だから、自分が相談することはほとんどありません(笑)。普通の人だったらそうなんだろうけど、私はそうはできないなと思うことが結構あるんです。だから、自分の中で冷静に考えて答えを出して行動することが多いですね。誰かのアドバイスに従って行動して失敗した時に、その人のせいにしてしまったりすることもあると思うので。だから後悔はないんです。やらないで後悔するよりはやって後悔したほうが諦めもつくので。本当は彼氏がいないのにいると嘘をついてしまうエリカの気持ちもすごくよくわかるんですよ。女子ってすごくめんどくさい生き物だから、大っ嫌いなんですけど(笑)、友達と同じ人を好きになってしまうこともあるじゃないですか。そういうのが嫌だったので、学生時代は校内に好きな人を作らないようにしていましたね。


ーーもしも恭也のような人が現れて、「3回まわってお手からワンだな」と言われたらどうしますか?


菜々緒:キツいなぁ……(笑)。私、変わっているので、まずグループ行動を絶対にしないからそういう状況にも陥らないし、恭也みたいな上から目線の男も大っ嫌いだから、ありえない(笑)。でも、指示通りに3回まわってワンして、「どう? どう? その気分どう?」って逆におちょくってやるかもしれません(笑)。


ーー(笑)。やっぱり菜々緒さんは悪女やドSのイメージが強いと思うのですが、役者さんの中にはあまり役のイメージをつけたくないという人も結構いらっしゃいますよね。そういうイメージがつくことについてはどのように捉えていますか?


菜々緒:イメージがつくことは全然悪いことだとは思っていないんです。悪女やドSにもいろいろな種類があるので、そのハードルが高ければ高いほどやりがいがあるし、そのイメージを覆すような力を身につけたい。だから、私がこれまで演じてきた悪女だったりドSだったりサイコパスだったりという役を見て、キャスティングをしてくださる方が「この役は菜々緒にやってほしい」と思ってくれるのであれば、全力でやっていきたい。求められているのであれば、それに応えるべきだと思ってやっていますね。


ーーほかに挑戦してみたい役柄はありますか?


菜々緒:コメディとアクションですかね。『猟奇的な彼女』とか恋愛ものもすごく好きなんですけど、自分が恋愛する立場の役はまだやったことがないので、今後そういう役にも挑戦していきたいですね。あと、最近観た『キャロル』がとても素晴らしい作品で。ああいったチャレンジングな役にもすごく興味があります。


ーー最後に、今後の展望や目指すものを教えてください。


菜々緒:この作品をやった時に、「あ~。もう制服着れないのか」と思って。ふみちゃんが制服を着ているのを見てやっぱり「かわいい!」って思ったし、街中とかでもカップルなのか友達なのかわからない制服姿の男女が一緒に歩いているのを見ただけでゾワゾワしちゃう。「あ~素敵! 幸せになってね」って(笑)。母性ですね。私はもう年齢的にも見た目的にも制服を着ることができないと思うので、制服時代に戻りたいっていうのは願望かもしれないですね(笑)。(取材・文=宮川翔)