フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のヨースト・カピートは、世界ラリー選手権(WRC)でスポット参戦のドライバーが総合優勝することは、シリーズの価値を下げかねないとの見解を示した。
先週末に行われたWRC第5戦ポルトガルでは、今季WRCにフルエントリーしていないクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)がSS2で総合首位に浮上。そのままラリーを支配し自身2度目の総合優勝を飾っている。
カピートは、現在のレギュレーションではドライバーズランキング順が、そのまま出走順になることに言及した上で、スポット参戦ドライバーが頻繁に総合優勝すれば観衆を混乱させかねないと述べた。
「クリス・ミークやセバスチャン・ローブのようなベテランドライバーが年3回ほどスポット参戦すれば、彼らは間違いなくすべてのラウンドで勝利を収めるだろう」
「そうなれば選手権全体の価値が下がることに繋がりかねない。なぜなら、ファンの多くは、なぜチャンピオンシップリーダーのセバスチャン・オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)が勝てないのか分からないからだ」
「ファンの中には『オジエを打ち負かすドライバーがいるならば、オジエはワールドチャンピオンにはふさわしくない。彼を3回も打ち負かしているドライバーこそ真のワールドチャンピオンだ』と考える者も出てきてしまうだろう」
この懸念に対する対策として、カピートはスポット参戦するドライバーは年間エントリードライバーより先に出走するべきだという案をWRCコミッションに提出すると明らかにした。
「今回のラリー・ポルトガルは、セブ(セバスチャン・オジエ)が勝利できないことを確信していた3回目のイベントだ」とカピート。
「そして次戦のラリー・イタリアも(グラベルラリーであるため)、彼がどんなに素晴らしい走りをしても勝利することはできないだろう。こういった状況は間違っていると言わざるを得ないよ」
「WRCにスポット参戦するドライバーは先頭でステージを走行する“掃除役”を務めるべきだ。こうすることで、チャンピオンシップを争う者にも勝機が出てくる。より公平な競技になるはずなんだ」
一方、シトロエンのチーム代表を務めるイブ・マトンは、カピートの意見に当惑していると応じている。
「彼の意見には納得できない。一体何が問題なんだろうか」
「クリス(・ミーク)はチャンピオンシップ争いをしている訳ではないし、セバスチャン(・オジエ)がクリスに続いて総合2位に入れば、チャンピオンシップで不利になることはないはずだ。ほかの誰よりも多くポイントを獲得できるんだからね」
「実際にポイントランキングを見てみるといい。彼らが心配するような要素はまったくないことは明白だ」
現在、ドライバーズランキングでオジエは114ポイントを獲得しランキングトップ。2番手のアンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)は67点で、その差は47点となっている。