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SMAP 中居正広は芸能界の“兄貴”に? 『金スマ』ベッキー登場回などから太田省一が検証

2016年05月24日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 SMAPの中居正広が、5月13日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBSテレビ系)で垣間見せたトーク術について、多くのメディアやファンが論評を寄せている。


 同番組では、一連の騒動で芸能活動を休業していたベッキーがテレビ番組に復帰。その発言に世間が注目するなか、中居は巧みなトークやコミュニケーション術で、ベッキーから謝罪や騒動の詳細についてのコメントを引き出した。


 『中居正広という生き方』や『紅白歌合戦と日本人』の著者で、リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載に持つ社会学者の太田省一氏は、この日中居がみせたMCとしてのテクニックについて、下記のように解説する。


「かねてから中居は、MCとしてタモリを敬愛しており、自身のスタイルについて『感情を安定させていたい。(中略)いつでも相手の言葉を引き出したり、人の気持ちを受け入れたりできるということ』(『AERA』2013年9月16日号)を心がけているとの発言からもわかるように、絶妙な“バランス感覚”で相手と接してきました。この日の中居もそうで、深刻すぎず、かといって軽すぎずという見事なバランス感覚が発揮されていたと思います。まず番組途中から登場し神妙な面持ちで謝罪をしたベッキーに対して、調理過程や料理の感想などで彼女をイジったり、さらには彼女からのツッコミまで引き出していました。そのあとは他のゲストも帰ったあと、2人でじっくりと話し合いました。最初に「嘘はつかない」ことを約束し、番組のMCとして彼女から騒動に対する心からの謝罪を引き出すだけでなく、優しく導くように彼女自身の本当の心の内を吐露させることで、色んな人が納得する結論へと持っていくことができたのです」


 また、この日のオンエアはいつもと違う層の視聴者が見ていることを踏まえ、中居も様々な一面を使い分けていたと分析する。


「番組自体はシリアスなムードというよりは、都会から離れた自然のなかで、リラックスした状況を作って話し合うなど、ベッキーが帰ってきやすいようにという気遣いを感じさせる作りをしていました。しかし、視聴者のほとんどはスキャンダルを経て、野次馬のような気持ちで見ていたと思います。そんななかで中居は『3カ月も抜けられたら困るよ! スタメンなんだから』と仲間としてエールを送ったり、番組後半では叱咤したりと、寄り添いすぎず突き放さずの空気感で、仲間として戻ってきやすい雰囲気をしっかりと作り上げていた。そういった中居の兄貴的な振る舞いがあったからこそ、視聴者もまた、フラットな目線で彼女を改めて見直すことができた気がします」


 続けて太田氏は、近年の中居が兄貴分的なキャラクターで進行をすることが多くなった背景について解説する。


「キャリアを積み重ねる中で、さまざまな人との繋がりができ年下の出演者も増えたことで、兄貴分的な一面が多く見られるようになりました。その一例が『ナカイの窓』、『Momm!!』、『中居正広のミになる図書館』などにおけるKis-My-Ft2との絡みや、舞祭組との関係性です。先輩としての距離感を持ちつつ、砕けた言葉遣いなどで、相手の親しみやすい部分を引き出すことができる中居ならではのキャラクターですね」


 最後に太田氏は、中居がみせた直近の動きから、今後の活動スタンスについてこう予想した。


「中居は先日起こった熊本地震の後、素顔を隠して現地で復興支援をしていたと話題になりましたが、そこには彼の敬愛するマイケル・ジャクソンの影響があると思います。東日本大震災の際にも『こんなとき、マイケルだったらどうするかなあと考えた』ことを自身のラジオ番組(『中居正広のSome girl' SMAP』)で語っています。その意味で、これまでも中居は芸能人の社会的責任を意識してきた人だと言えますが、その覚悟はキャリアや年齢とともにより明確になってきているように思えます。これからも、いざという大事な時は躊躇せずに行動することを、彼ならではの繊細な気配りで続けていくのでしょう。MCやグループの一員としての中居の活躍も楽しみにしつつ、今後は芸能界において新しい模範を示すようなリーダーになれるのかどうか、という点にも注目したいですね」


 MCや国民的アイドルグループの一員として、日本の芸能界になくてはならない存在になりつつある中居正広。少しでもマイケルに近づくため、今後はどのような活躍をみせてくれるのだろうか。(リアルサウンド編集部)