現在F1にワンメイク・タイヤを供給しているピレリは、大きくレギュレーションが変わる2017年へ向けたテストを5月3日に開始している。テストが行われたのはイタリアのフィオラノにあるフェラーリのプライベートテストコースで、マシンは2014年以前のものという規定により2014年型フェラーリF14 Tを使用。ステアリングを握ったのは、フェラーリのテストドライバーを務めるジャン・エリック・ベルニュだった。
今シーズン中のテストは規定により、すでに終了したスペインGP直後のバルセロナ合同テストと、イギリスGP直後の7月12、13日のシルバーストン合同テストの2回のみとなっていたが「そのテストだけでは2017年の規格変更に十分なデータがとれず、レギュレーション変更には同意できない 」というピレリの主張をFIAが認め、スポーティングレギュレーションが見直された。
フィオラノでのテストは、この一環として実施され、ベルニュが様々なプロトタイプのタイヤをテスト。ピレリは「2016年サイズのタイヤに数々のプロトタイプ要素を盛り込んだ」と語っているが、非公式に撮影されたテスト走行の写真を見る限り、明らかに幅が広くなったリヤタイヤを装着している。おそらく、2017年新規定の305mmのフロントタイヤ(現行は245mm)、リヤ405mm(現行325mm)サイズのタイヤをテストしたようだ。なお、ベルニュはテスト内容について一切語っていない。
Amazing test here in Fiorano, thank you @ScuderiaFerrari ! pic.twitter.com/86YkZoaLlq— Jean-Eric Vergne (@JeanEricVergne) 2016年5月4日
今後のテストについて、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは「まだ何も決まっていない」と口を濁したが、ある情報筋からの話では、フェラーリのほかにメルセデス、ルノーのワークスチームが協力する予定だという。マクラーレンもホンダのワークスチームにあたるが、マクラーレンの場合2014年マシンはメルセデスのパワーユニットという問題があるため、現時点ではテスト参加が認められていない模様だ。
ただし改訂されたスポーティングレギュレーションでは「2016年から3年間は、現行マシンを使用した新タイヤサイズのテストが年25日間認められる」とされており、2014年以前のマシンを使用したプロトタイプのテストが終了しだい、よりダウンフォースの大きい現行マシンを使用したテストに移るものと思われる。したがって、その“第2段階”のテストからはマクラーレン・ホンダも加わることは可能だ。
ピレリのテストドライバーとしてパストール・マルドナドとの契約が噂されていたが、ヘンベリーは「チーム側にまかせており、ピレリ独自にテストドライバーを用意する予定はない」と否定。ただし、ある関係者によれば「フィオラノの前に、マルドナドがムジェロでGP2マシンを使用してテストをしていた」という情報もあり、今後ワークスチームとのテストとは別に、GP2マシンなどを使用して独自のテストドライバーによるテストが行われる可能性がないわけではない。
その場合のドライバー候補には、すでにテストしているベルニュ、マルドナドのほかに、今季インディカー・シリーズに参戦中のルカ・フィリッピの名前も挙がっている。