2014年から東京都知事として都政を担っている舛添要一氏に「文春砲」が放たれ、政治資金の使途を巡る疑惑が相次いて出ている。
だが、舛添知事の問題は「政治とカネ」にまつわるものだけではないようだ。5月22日付けの産経新聞では、この1年間の舛添知事の視察内容を明らかにしている。それによれば、「視察」の7割が美術館や博物館の視察だったという。
選挙戦では「社会保障の充実に全力をあげます」とアピール
記事によれば、舛添知事は今年4月までの1年間で庁外視察(海外除く)を54回行っている。そのうち39回を占めたのが、「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」(江戸東京博物館)などの美術館や博物館の視察。移動にはほぼ公用車が使われていた。
舛添知事には政治資金で美術品を購入した疑惑も出ている。そのため、記事では識者が「公務の名を借りた『個人鑑賞会』だったと疑われても仕方がない」と指摘している。
女性向けコミュニティサイトのガールズちゃんねるでは、この記事を基にトピックが立ち炎上状態に。「自分の興味があるとこだけ視察してる感じ」「趣味で働いてんのか」といった批判が相次いだ。
さらに、記事によると、舛添知事が視察で保育所や介護施設を訪れたことは一度もないという。しかし、舛添知事は都知事選の政策に「安心、希望、安定の社会保障」を掲げていた。
「母親の介護の経験、厚生労働大臣時代の経験を生かし、出産、育児、仕事、医療、そして、介護、人生の中で経験することとなるそれぞれのステージで、東京における様々なライフスタイルに合った社会保障の充実に全力をあげます」
「保育や介護は重要な問題なのに、都知事は何も感じないの?」
こう豪語したにも関わらず福祉関連施設を視察していないということで、「福祉問題を掲げてこれはちょっとね」といった批判も相次いだ。
「保育、介護問題って、少子高齢の社会になっていくこれからの重要な問題なのに、都知事は何も感じないの?」
「東京でも待機児童の問題が一番の問題では?また、自分でお母さんの介護したと言ってたよね。介護施設も回ってないの?何のために都知事になったの?」
産経新聞の2014年の記事によれば、舛添知事は当初、「待機児童」や「待機高齢者」を削減するため、未利用の都有地を活用して保育所や介護施設を作る考えを明らかにしていた。
しかし、「週刊新潮」(2016年4月7日号)によれば、新宿区が都立高の跡地を保育所整備用地として使用できないかと申し入れたところ、舛添氏はこれを却下。「東京韓国学校の増設用地として、来年4月から韓国政府に貸し出す方針」を示したという。
田嶋陽子氏「お母さんたちの要望を聞いてやるかと思ったのに何もしない」
この件については、5月22日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)で、過去に舛添知事と論争を繰り広げた田嶋陽子氏も、
「だって韓国人の学校行く人減っているんでしょ、数が。それなのに作るって変じゃん」
「厚生労働大臣だったから真っ先にそういうこと(保育所増設)のお母さんたちの要望を聞いてやるかと思った。それなのに何にもしないんだもん」
と指摘していた。外交政策も重要だが、自身の公約や現状を見て何を優先すべきか決める必要があったのではないか。今まで注目されていたのは主に「政治とカネ」の問題だったが、今後は舛添知事のこの2年間の知事としての実績に厳しい目が向けられそうだ。
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