奥田庸介監督の映画『クズとブスとゲス』が7月30日から東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開される。
2011年の『東京プレイボーイクラブ』で24歳の時に商業映画デビューを果たした奥田庸介監督。『クズとブスとゲス』では、女性を拉致監禁して撮影した裸の写真を使い、ゆすりで生計を立てるスキンヘッドの男、薬の運び屋から足を洗ったが、ストレートな性格が災いして過ちを繰り返すリーゼントの男、流されるまま生きてきた女性の3人を軸に、社会適応力のない彼らによる血と暴力の物語が描かれる。
奥田は主人公のスキンヘッドの男を自ら演じ、体重を15キロ減量したほか、眉毛を剃り落とし、鼻にピアスをつけるなどの肉体改造を行なった。また劇中で流れている血は全て本物で、奥田は本番中にビール瓶で自身の頭を叩き、12針縫う怪我を負ったという。なお奥田は同作で昨年の『第16回東京フィルメックス』スペシャルメンションを受賞している。
■奥田庸介監督のコメント
この映画を例えるならば、15の夜に行き先も分からぬまま暗い夜の帳の中を盗んだバイクで走り出す代わりに、28の夏に生き方も分からぬまま辛く無意味な人生の途中で怒った奥田が暴れだす、といった感じだと言ったら分かりやすいでしょうか。最早映画とは呼べないぐらい個人的なシロモノなのですが、薄汚く自己正当化しますと、今のこの日本文化の有り様だからこそこんな映画があって良いと思います。