F1スペインGP後に行われたインシーズンテストで、ルノーがトークンを使用した新スペックのパワーユニットをテストした。そのパフォーマンスは、あれほど辛口だったレッドブルが「モナコGPから使いたい」と絶賛するほど向上しているようだ。
ルノーのマネージングディレクター、シリル・アビテブールは「新スペックを投入するのは、予定どおりカナダGPから」と語っていたが、インシーズンテスト終了後には「モナコGPから、ルノーF1チームとレッドブルに1基ずつ最新スペックが供給される」との噂も出ている。
すでにルノーは第2戦バーレーンGPで1トークンを使用、最新スペックで数トークン使用していることは間違いない。ロシアGPではフェラーリが3トークンを使用。メルセデス勢もロシアGPで2トークン使用したスペックをユーザー全チームに供給。スペインGPではフェラーリのカスタマーであるザウバーとハースが1戦遅れで最新バージョンを手にしている。
これでアップデート仕様のパワーユニットを使用していないのは、フェラーリの昨年型パワーユニットを使っているトロロッソと、シーズン中まだトークンを使用していないホンダだけとなった。
スペインGPのレース後、地元ジャーナリストは「ホンダが、いつトークンを使うのか」を気にしていた。その件についてホンダは明確に答えていないが、筆者はオーストリアGP以降の可能性が高いと予測している。理由は次のとおりだ。
1:長谷川祐介ホンダF1総責任者はスペインGPで「トークン使用に関しては、まだ決まっていないが、少なくともモナコではない」と明言している。
2:バーレーンGPからスペインGPまで4戦連続で2基目のパワーユニットを使い続けたフェルナンド・アロンソは、モナコGPで3基目を投入する予定となっている。
3:長谷川総責任者は以前から「トークンを使用するなら、パワーユニットを新しくするタイミングで入れたい」と語っている。
これらを総合すると、ホンダのトークン使用バージョンが投入されるタイミングは、モナコGPで3基目を入れた直後のカナダGPではなく、アロンソが4基目を入れるタイミングとなるであろう第9戦オーストリアGP以降となるのではないか。
ただし、カナダGPから投入してくる可能性もある。ジェンソン・バトンはバーレーンGPでパワーユニットにトラブルが発生、中国GPから2基目を使用し続けている。そうなると次のモナコGPで、おそらく4レース分を走りきることになる。その場合、カナダから新スペックを投入すれば、バトンにとっては良いタイミングとなるが、それには問題もある。
マクラーレンの車体は空気抵抗が大きいことを考えると、せっかく新スペックを投入しても、ストレートが長いカナダGPでは結果に結びつかない可能性も高い。いろいろな要素を考慮すると、やはりオーストリアGPかイギリスGPあたりが有力なのではないか。
また、長谷川氏は英AUTOSPORTの取材に答えて「我々は開発を続けており、来週にでもアップデートを披露することはできる。だが、小さなアップデートのためにトークンを無駄にしたくない。モナコかカナダでは何かしら新しいものを紹介したいところだが、まだ何も決まっていない」とも語っている。次のアップデートにはトークンが使われるのかどうか、詳細は不明だ。
スペインGPではトークン使用について、次のように語っていた。
「そろそろ入れたいが、できれば効果的に使いたい。(開発中のパワーユニットの)成果を、きちんと確認したた上で、ご報告できるタイミングが来れば、ご報告したい」