トップへ

ピース・又吉の原作ドラマ『火花』、チャド・マレーンが翻訳の苦労明かす

2016年05月20日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)2016YDクリエイション

 ピース・又吉原作ドラマ『火花』より、本作全話の翻訳を担当したオーストラリア出身の芸人、チャド・マレーンのコメントが公開された。


参考:デーブ・スペクターが語り尽くす『ハウス・オブ・カード』の魅力


 本作は、第153回芥川賞を受賞したピース・又吉の処女作『火花』を、オンラインサービス「NETFLIX」のオリジナルコンテンツとしてドラマ化した作品。総監督・廣木隆一をはじめ、白石和彌、沖田修一、久万真路、毛利安孝が各話の監督をそれぞれ務め、芸人と漫才を軸にした人間ドラマを全10話で描いていく。


 今回、本作の翻訳を担当したチャド・マレーンのコメントが公開され、翻訳の苦労話や火花の魅力について語っている。


【チャド・マレーン コメント】


■翻訳に当たり苦労したポイント


まず襲って来たのが、芥川賞受賞作品を翻訳する重圧。それから、その名誉を与えられただけある、中身。基本的に字幕は、文字数の制限もあって、頑張ったところで原文の1/3の情報量しか伝えられないと言われています。翻訳する際はセリフの本質を突いた言葉選びをしていきますが、どういう訳か、又吉が一語一句を大事に、それもまた意味をたっぷり込めているので、噛み砕けば噛み砕くほど味が出て来るし、それを限られた尺内に、繊細な言葉で、それも読みやすい文にしていくのに、絶対本人以上に悩んだと思う! しかも、微妙な心の風景を表す言葉が、実は漫才の前フリとなって、後々ウケなあかんということで、『火花』のはずが、僕のハートとヘッドが大やけどしっぱなしだったようなものなのかもな! しかし、何よりも、これもすごく個人的なことですが、こともあろうに本作品で描かれている世界は、僕が実際に生きた時代、僕が又吉と共に戦った舞台、それをリアルなロケ地で撮影しているので、僕のこの半生の間、周りで散ってしまった数々の夢の分だけ、号泣しながらパソコンの前でカタカタする日々でした。そんな色々があって、最終的に、言っていることがこんなにオモロいのに、こんなに号泣する漫才はない、と全世界中の人に言わせるつもりで、ええ仕事をしてみました。


■日本の漫才が世界へ発信されることについて


僕が高校生のときに初めて来日して、感銘を受けたManzaiは、世界に通じるはず! ただ、『火花』はManzaiのことで悩ましい人生を送っている人たちのめちゃくちゃイイ物語なので、「面白さ」よりも、その「ロマン」が先立つと思います。「ジャパニーズ・コメディー」というよりも、ミッキー・ロークの『レスラー』と同様、一度でも夢を見たことのある人なら号泣間違いなしの作品だと思います。


■『火花』のみどころ


原作はめちゃくちゃ売れてますけど、自分の周りで実際に読んだという人が、少ない、そんな心当たりのあるあなたに! オモロいから、見てや。おまけに、日本のドラマと思えないクオリティでやってます。劇中の曲まで最高です! それでも観る気が沸いて来ないなら、字幕をONにすれば、英語の勉強にもなるで~!(リアルサウンド映画部)