英AUTOSPORTが、スペインGP時点での全11チームのシャシーの格付けを行った。
スペインGPの舞台となるバルセロナサーキットでは、あらゆる面でシャシーパフォーマンスを最大限に引き出すことが求められ、それゆえにシャシーの評価をするのに最適なサーキットであるといわれている。
英AUTOSPORTのF1担当者ベン・アンダーソンがスペインGPのFP1とFP3でターン1、2、3において各マシンをチェック、GPSデータを検証した上で、11チームのシャシーの序列を評価した。
以下にアンダーソンによるランキングと短評を上位から紹介する。
1. レッドブルRB12
レッドブルのシャシーが現在ベストなのは間違いない。ブレーキング時の挙動では並ぶものがない。高速では極めて安定しており、特に低速コーナー入口から向きを変えていくところが非常に強い。
メルセデスのパワーユニットを搭載していれば、頻繁に勝っているはずだ。
2. メルセデスW07
メルセデスが現在優勢なのは、最もパワフルなエンジンを積んでいるからだと言うのはたやすいが、そう言い切るほどシャシーが悪いわけではない。
高速・低速のバランスに関してはレッドブルには劣るものの、その差は大きくはない。
3. フェラーリSF16-H
フェラーリには明確な欠点はなく、全体的にすべてのタイプのコーナーで非常にバランスがいいようだ。だが高速ではメルセデスより一歩劣っており、低速ではレッドブルより弱いのは明らかだ。
4. マクラーレンMP4-31
マクラーレン・ホンダは時にリヤが扱いづらそうに見えるが、それでも特に低速では非常にポテンシャルが高い。
明らかに最も弱いエンジンを積んでおり、それが高速の空力パフォーマンスを損なっている。パワーの面でもっと大幅に優れていれば、トップ2の脅威になっていた可能性がある。
5. トロロッソSTR11
トロロッソは、非常にポテンシャルが高く、乗りやすいシャシーであるように見える。特に高速では極めて安定している。
しかしブレーキングと低速でのパフォーマンスはトップチームのレベルに届かない。トロロッソはほとんどのライバルたちよりパワーが劣っているというのが実情だ。
6. ウイリアムズFW38
すべての面で堅実に作られているが、高速で乗りにくいようで、ドライバーは非常に正確なラインを取ることを求められる。低速コーナーのエントリーは改善したが、いまだに弱点であることには変わりない。
しかしトラクションはよく、メルセデスのパワーユニットを積んでいることで、パッケージ全体でトロロッソやマクラーレンより優れたパフォーマンスを発揮している。
7. フォース・インディアVJM09
フロントエンドが優れており、ショートコーナーでは非常に効率的だが、ダウンフォースとトラクションが足りない。レッドブルスタイルのハイレーキのセットアップに合わせ、リヤグリップを維持するのに苦労しているせいだろう。最近のアップグレードでウイリアムズにかなり近づいた。
8. ルノーRS16
基本的には、非常に優秀だった去年のロータスE23にルノーエンジンを乗せて走っている。走りやすそうに見えるが、パワーとダウンフォースが足りない。
シャシーとエンジンがアップグレードされて期待どおりの性能を発揮すれば、ルノーは中団上位を脅かす存在になるかもしれない。
9. ハースVF-16
高速で、特に右から左へと素早く向きを変える時にはナーバスに見える。しかしトラクションはまずまずで、直線は非常に強い。
それでもフェラーリエンジンを搭載したハースには、ウイリアムズほどのポテンシャルはなさそうだ。
10. ザウバーC35
ザウバーは、財政難で開発費用がないため、徐々に他の中団チームから遅れを取ってきている。しかしより優れたエンジンを積むマノーよりも基本的には速さがある。また、1周の速さよりもレースペースが優れている傾向にある。
11. マノーMRT05
フォース・インディアVJM09と同様に、マノー・メルセデスはリヤよりもフロントエンドが強い。しかし他のマシンに比べてベーシックで、ダウンフォースとトラクションが圧倒的に足りない。
少なくとも今年は、去年までのように圧倒的な遅さで下位を走るだけの存在ではなく、しっかり競争に加わっている。