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ミュージカル『ウェストサイド物語』

2016年05月20日 00:02  オズモール

オズモール

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ミュージカルの不朽の名作ともいえる『ウェストサイド物語』。足を高く上げる圧巻のダンスシーン、一度は目にしたことがあるのでは。ダンスや音楽が印象的だけれど、そのストーリーはとても奥深い。経済成長を続ける華やかさの裏で人種に対する差別や偏見が蔓延するニューヨーク、ウェストサイドを舞台に、若者たちが繰り広げる愛と友情の物語の結末とは…。今回、劇団四季によるミュージカル『ウェストサイド物語』東京公演をレポート。

◆思わず引き込まれる!本場仕込みのパワフルで華やかなダンスは圧巻


幕が上がると、そこはニューヨークの裏通り。欧州系移民の「ジェット団」とプエルトリコ系移民の「シャーク団」、2つの不良グループの対立の描写から始まる。冒頭から男っぽい力強さの中にバレエのようなキレのあるダンス、みんなでY字に足を高く上げるシーンに、グッと物語に引き込まれていく。ダンスパーティーのシーンでは、色鮮やかなドレスに身を包んだ女性たちのダンスも加わり、その華やかさに抑えきれないワクワク感が!

今回の公演では、公認振付師のジョーイ・マクニーリー氏が来日し演出を手がけ、さらにパワーアップ。高度なテクニックと熱い思いが吹き込まれたステップからは気迫がビンビンと伝わってきて、一瞬にして観る者の心を釘付けにしてしまう。

◆音響効果は劇場ならでは!その迫力が観客の想像力をかきたてる


ミュージカルの醍醐味のひとつは、音楽。「トゥナイト」や「アメリカ」など、同作から生み出された名曲の数々はもちろん、劇場だからこそ体験できる音響効果にも注目したい。喜びや怒り、悲しみなど、シーンごとの感情と音楽とが融合、見ている側の想像力をかきたててくれる。

全身に響いてくるような迫力のサウンドは、劇場ならではの演出。涙したり憤ったり、一瞬一瞬の思いがダイレクトに心に届き、まるで自らも物語の世界に入り込んでいるような気分にさせてくれる。

◆物語に込められたメッセージに心を揺さぶられる充実感


純愛、友情、孤独…さまざまな感情が織り成される同作は、アメリカの「現代版ロミオとジュリエット」ともいわれる悲劇。対立する2つのグループの憎しみや憤りゆえの暴力と抗争、その中で芽生えたかなわぬ愛。ただ悲しい恋愛物語というだけでなく、そこには差別や偏見などの社会的問題に立ち向かう平和を願う強いメッセージが込められている。観劇後、“憎しみの連鎖からは何も生まれない”と心に余韻を残す物語の奥深さに充実。

エネルギーに満ちあふれたダンス、情熱がこめられた歌声、臨場感あふれる音楽、すべてを包み込む空気…その場にいるだけで心を持っていかれるような、”生”でしか味わえない感動を体験。もはや”観る”を超えた”感じる”エンターテインメントがここに!

写真/©下坂敦俊