たぶん、この世でもっとも地味な単語のひとつが「粘菌」ではないでしょうか。ふだんの会話にまず出さないし、出したところで会話が盛り上がる自信もない。
しかし一度その世界にハマってしまうと、粘菌ほど可愛くて魅力的な生き物はないんだそう。
先日発売されたのは、『粘菌生活のススメ ―奇妙で美しい謎の生きものを求めて―』(著:新井 文彦、川上 新一 / 誠文堂新光社)なる本。これを機に、もしかして粘菌ブームが来たりして……!?
【そもそも粘菌ってナニ?】
粘菌という存在はとっても不思議。なんでも、動物でも、植物でも、菌類でもない生きものなのだとか。
同書のサイトによると、粘菌(変形菌)は、動きまわって微生物などを捕食するアメーバ動物的状態を経て、きのこのように子実体を形成、そして胞子で繁殖。一生の間に、あるときは動物的性質を、あるときは菌類的性質を持つのだそうです。
また、これまでに知の巨人・南方熊楠が生涯を通じて研究したことや、宮﨑駿の漫画『風の谷のナウシカ』中に、物語の核となる生物として登場したことでも知られている、と紹介されています。
【色、カタチ、いろいろ】
そんな粘菌の魅力はその美しさ、かわいらしさにアリ! 赤、白、黄色、生き物なのにメタリックな光沢すらある金色や銀色など、色彩は多様。そして形もアイスバー型、まち針型、まんじゅう型、プレッツェル型など、さまざまで実にバラエティ豊か!
本書でも、フーセンガムのような丸くてピンク色のものや、ムーミンに出てくるキャラクター「ニョロニョロ」に似たものなど、たくさんの粘菌が紹介されています。
【本邦初公開の粘菌写真も!】
北海道や東北各地で撮影された本邦初公開の写真も多数掲載されているという『粘菌生活のススメ ―奇妙で美しい謎の生きものを求めて―』。初心者も安心して楽しめる一冊となっています。さあ、皆さんもめくるめく粘菌ワールドへぜひ!
参照元:誠文堂新光社、PR TIMES
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch