始業と終業時に打刻し、正確な勤務時間を記録するために利用されるタイムカード。しかし、その記録を逆手に取り不正に使用する企業もある。
5月18日の労働新聞の記事によると、新潟・長岡労働基準監督署はトヨタカローラ北越(新潟県長岡市)と長岡要町店支店長を労働基準法違反の疑いで書類送検した。労働者にタイムカードを強制的に打刻させた後に、サービス残業を行わせていたのだ。
強制打刻なのに「タイムカードに基づいて残業代を支払っている」と供述
記事によれば、「送検された支店長は、勤怠管理者が営業社員に対して17~18時になると強制的にタイムカードを押させていたことを黙認していた」という。タイムカード打刻後の残業や早出が常態化しており、その分の残業代は支払われていなかった。
労働者の相談により発覚したものの、同社は当初、「タイムカードに基づいて残業代を支払っている」と供述を行っていたという。
かなり質が悪いが、このような企業は他にもあるようだ。ツイッターで「タイムカード」を検索してみると、似たような体験談が投稿されているのが目につく。
「前にいた会社、社員は21時になったら強制的にタイムカード切らされて毎日残業は2時間以内ってことにされてたわー…」
「現実? タイムカード書き換えられてる」
「旦那の会社、基本的にサービス残業なのどうにかしてほしい。昨日は帰宅したの1時過ぎ。ほぼ毎日残業で土日もサービス出勤、月の半分は行ってる。帰りが毎日遅いのは別にいいんだけど、そこに給料が伴わないのが嫌だ…17時に総務がタイムカード一斉に切るとかブラックかよ…」
残業代を取り返すには「出退勤時間を示す証拠が必要」
中には、終業時間打刻後のサービス残業が当たりまえになってしまっているためか、「タイムカード押したのに仕事するのってなんか嫌だけど、残業代なんてないから同じなんだよな」とあきらめの様子を見せる人も。
一方で、将来会社に残業代を請求できるように、自身で記録を取っているという人もいた。
「最近帰り際にメール送ってるのは来るべき時に備えてタイムカード代わりにしようと思ってるからなのです」
キャリコネニュースでは以前、ニコニコ生放送で「残業代の取り返し方」をテーマに放送を行ったが、出演した岩沙好幸弁護士は、残業代を取り返すには「出退勤時間を示す証拠が必要」だと指摘している。
タイムカードがない場合の方法として、「会社の業務用パソコンの右隅に表示されている日付と時間を、出社した時間と帰宅した時間で(スマホで)写真に撮りためておくこと」を推奨した。これは手書きのメモよりも客観性の高い証拠になるという。タイムカードを改ざんされている人にも有効は方法になりそうだ。
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