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V6、関ジャニ∞、Sexy Zone…グループのあり方と歌詞は深くリンクしている!?

2016年05月19日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 夏に向けて、シングルやアルバム、DVDなどを次々と発表しているジャニーズグループたち。完璧なパフォーマンスはもちろん、一流の音楽家たちが手掛けた楽曲でも我々を楽しませてくれている。今回注目したいのは、「歌詞」だ。ジャニーズの楽曲は、歌詞とグループの特徴がリンクしているものが多いと感じる。その中から特徴があるものをいくつかピックアップして、ご紹介しよう。


(関連:いまV6を聴かなくてどうするーーデビュー20周年を前にした音楽的充実期


■V6「それぞれの空」


 お互いの夢のために、別れを選んだ恋人たちのことを歌っている「それぞれの空」。<この手を離した君の 身を切るような優しさの意味を 忘れないから>という歌詞が印象的で、「別れを選ぶこと=優しさ」という大人な対応が切ない。その中でも特筆したいのが、「when you feelin' blue, i wish you can cry in someone's arms」という部分である。意訳をすると、「あなたが悲しい時、誰かの腕の中で泣けるといいな」という意味だ。これは、平均年齢39.1歳のV6が歌うからこそグッとくるものがある。もしかすると、彼らもこういう思いをしたことがあるのかもしれない。また、今でこそグループの仲の良さが際立つV6だが、以前はトニセンとカミセンで年齢差があり、お互いに気を使っていた時期もある。相手を思うがゆえに衝突したり、上手く関係性を築けなかった時期も長かった。そんな経験を持つV6のメンバーが、心から相手を思う優しさが詰まった歌詞を歌うからこそ深みが増す曲なのだと思う。


■関ジャニ∞「Dye D?」


 ドラキュラの恋をテーマにしているこの曲は、メンバーの安田章大が作詞・作曲を手掛けている。変則的なメロディーラインもさることながら、歌の割り振りが特徴的だ。スパイス的に入っている丸山・大倉、横山・丸山のハモリ部分以外は全てソロで歌うという、関ジャニ∞にしては珍しい構成で、歌の割り振りを担当した安田のこだわりが詰まっている。まず、人気のある錦戸が出だしを歌うことでファンの心を掴み、いつもハモリパートを歌っている丸山が主旋律を歌って耳を惹きつける。続いて歌詞が日本語に切り替わる<嗚呼、当夜も想い彷徨って>という部分は、力強さを出すために村上信五が担当。そしてサビは安定の渋谷すばる。「I'll live with you. Love you tonight. Whenever you are lost, I'll be there for you. Never let you go.(私は君と生きるつもりだ。当夜も君を愛している。君が独りの時、私が迎えに行くよ)」という、この曲の世界観の根源となる部分を歌い上げているのだ。メンバーの安田だからこそ、一人ひとりの良さを上手く加味し、特徴のあるこの曲を見事に作り上げられているのだろう。


■Sexy Zone「Easy come! Easy go! Easy love!」


 4枚目のアルバムに収録されている「Easy come! Easy go! Easy love!」。甘酸っぱい青春の恋を現すような単語が散りばめられていたり、「シュルシュル」「シャカシャカ」「キラキラ」「パクパク」「サクサク」などのオノマトペがこれでもかというほど盛り込まれていたり、「トンチキな歌詞が多い」と言われているSexy Zoneらしい楽曲だ。しかし、この曲には5人体制に戻ったというグループの背景が見られると思う。例えば、タイトル。直訳すれば、「気軽に来て、気軽に行こう、気軽に愛そう」となるが、「easy come, easy go(得やすいものは失いやすい)」という慣用句が含まれている。つまり、得やすいものは失いやすい=苦労して手に入れたものは失わない、ということだ。これは5人体制に戻ったことを言っているようにも思える。さらに「ここからSexy Zone 飛び出そうSafety Zone」という歌詞にも注目してみると、このアルバムから再び5人で活動しだした彼らなりのメッセージが含まれているのかもしれない。


 例えばV6の「それぞれの空」をSexy Zoneが歌っても成り立たないし、Sexy Zoneの「Easy come! Easy go! Easy love!」を関ジャニ∞が歌っても成り立たない。歌詞とグループが持つ背景が掛け合わさることで、唯一無二、オンリーワンの楽曲ができあがるのだ。こういった工夫があるからジャニーズグループは上手く差別化が図れており、それぞれの良さを発揮できているのではないだろうか。(高橋梓)