GULF NAC PORSCHE 911 Gulf Racing with PACIFIC『GULF NAC PORSCHE 911』
新車投入も序盤の接触で無念のリタイア
#9 GULF NAC PORSCHE 911 レース結果
2016 AUTOBACS SUPER GT 第2戦 FUJI GT 500km RACE
5月3日(火・祝) 予選 天候/コース:晴れ時々曇り/ドライ
予選Q1ポジション:23位(1’38”046)
5月4日(水・祝) 決勝 天候/コース:雨のち晴れ/ウェット~ドライ
決勝ポジション:リタイア(Best Lap 1’41”156)
ゴールデンウィーク恒例のスーパーGTシリーズ第2戦が、5月3~4日に富士スピードウェイにおいて開催。Gulf Racing with PACIFIC『GULF NAC PORSCHE 911』(阪口良平/吉田広樹/ディラン・ダーダエル)は、決勝レースの序盤に突如失速した車両を避けきれずに接触。ラジエターが破損したためにピットインし、レースを終える結果となった。
開幕戦の岡山で車両火災に遭った『GULF NAC PORSCHE 911』だったが、ドイツから新車が届き4月28日にはシェイクダウンテストを行い、GULFカラーを施しての富士入りとなった。富士スピードウェイは1.5kmのストレートを持つ日本屈指のハイスピードコース。しかしながら後半の第3セクターは上りながらのテクニカルセクションで、それなりのセッティングも必要となる。さらに今回は通常の300kmより長い500kmレースであり、ピット作業も1回多く迅速な仕事も要求される。最低車重は開幕戦より10kg軽くなり1,245kgとなったが、ストレートスピードの伸びない2016年モデルのポルシェ911 GT3Rは苦戦が強いられそうだった。
3日朝の公式練習には15台のGT500車両と29台のGT300車両、あわせて44台がコースイン。阪口がセッティングを確認しながら走り、今回がスーパーGTデビュー戦となり富士の経験の少ないダーダエルが13周。吉田はセッティングを確認して5周するにとどまった。阪口がマークしたベストタイムは1分38秒619で参加29台中21位。3月の合同テスト同様のポジションとなった。公式予選Q1は、阪口がステアリングを握りコースイン。阪口はタイヤに熱を入れながら6周目に1分38秒046までタイムアップしたが、全体的にもタイムアップしており23番手。これでQ2に進出できるトップ14に入ることはできず、ここでスターティンググリッドが確定した。
予選日の夜は春の嵐となったが決勝日の早朝までには雨は上り、朝のフリー走行は晴天で行われた。このセミウェットからドライコンディションになる路面で、阪口は19番手のタイムをマーク。改めてコンディションの悪い時のポルシェの安定性に、自信を深めるセッションとなった。
決勝レースは14時にフォーメーションがスタート。風はやや強いながらも五月晴れとなり気温も22度と、絶好のレース観戦日和となった。コースサイドのグリーンは水を保っていたが、路面は完全に乾いたドライコンディション。ステアリングを握るのは阪口。ピットインはタイヤの状態と相談しながら、中盤を吉田、終盤をダーダエルが担当する作戦だ。阪口はオープニングラップでブレーキング競争をした際に、マシンの挙動が乱れ順位を27位へ落としてしまった。それでも大混雑するバトルのなかで前に出るチャンスをうかがった。
しかしGT500マシンがGT300クラスを周回遅れにし始めた5周目のダンロップコーナーで、GT500/GT300車両がダンゴ状態となり、前を走行するGT500車両がGT300車両と接触して失速。左右にも他車両がおり数台が集中した場所で、阪口は避けきれずに前のGT500車両に追突。これでフロントバンパーを破損してしまった。しばらくは様子を見ながら周回を続けていたが、水圧メーターが低下を示したこともありピットイン。フロントのパーツがラジエターを破っており、これではレース続行不可能と判断したチームは今回のレースから撤退。わずか12周で無念のリタイアとなり、ダーダエルの日本でのレースデビューも鈴鹿1000kmまでお預けとなった。
国江仙嗣監督
「今年型のポルシェは、バンパーなどの外板を軽量化のために硬いカーボンパーツに変更しましたが、これが裏目に出ました。ラジエターへの導風パーツが割れて、センターに配置されたラジエターを破ってしまいました。昨年までの車両であれば、こんなことにはならなかったと思うのですが、これもレースです。応援していただいたファンの方々やスポンサーには大変申し訳ありません。こういったアクシデントを踏み台にして、世界中のポルシェも速くそして強くなっていくと思っています。チームとしては前回のアクシデントもあり、準備が足りなかった部分もあったかもしれません。改めて気を引き締めて次のレースに臨みたいと思っていますので、ぜひ長い目で見守っていただきたいです。前向きに頑張ります」
阪口良平選手
「決勝日朝のフリー走行で上り調子でしたから、今回の結果は残念でなりません。大混雑になったダンロップコーナーで、数台の車両が圧縮された形になり前にいた車両を突いた形となり、結果ラジエターの水が抜けてしまいました。そういったシチュエーションにいた自分が悪いと思っています。次のレースでは予選から頑張ってもっと前を狙い、ポイント獲得というよりもまず完走を目指します。2戦を終えてまだピット作業の経験もない状態なので、ひとつひとつ結果を残していきたいと思います」
吉田広樹選手
「地元(熊本)が被災したこともあり、レースの結果で元気を与えたいと思っていましたが、残念ながらレースを走ることができませんでした。2戦続けて残念な結果となりましたが、気持ちを切り替えて次のレースでは、最初の目標である完走を目指します。若いメカニックたちはピット作業のタイヤ交換を一生懸命練習していますが、まだ本番のプレッシャーを知りません。そんな意味でも次のSUGOではいろいろなことを経験してチームの総合力をもっと高めていきたいと思います。引き続き応援をよろしくお願いします」