先日、女性向けのコミュニティサイト「ガールズちゃんねる」を、思いっきりおっさんだけど気にせず閲覧していると、気になるスレッドを目にした。「奨学金は不幸ですか?」と題されたこのスレッドには、こんな質問があった。
「私は奨学金を頂いて大学を卒業し、いま返済中です。 進学校でしたが、周りにはそんな友達が何人もいます。 私を含め皆、自分の力で大学に行ったことを誇りに思い、親を恨んでいるような人はいません。 ですが、ガルちゃんでは、奨学金は『不幸だ! 親の怠慢だ!』という意見をよく目にします。 世間一般的に、どう感じるのか知りたいです」
奨学金は果たして不幸な制度なのか。ちょっとこれを考えていきたい。(文:松本ミゾレ)
平均年収が下がり続けている今、奨学金は不可欠な制度
今回の質問に対して、奨学金が不幸の呼び水だと思っている人々の声を引用してご紹介していきたい。
「ローンという名の借金だもの ご利用は計画的に」
「親がちゃんとお金を用意してくれていなかった、用意出来なかったってことだから不幸っていうか可哀想」
「こどもに借金背負わせる親でしょ そりゃ親としてどうだろうね? 」
結構、貧乏な家庭に育った人にとっては、辛く感じるだろう声が多い。まぁ、奨学金は実質借金ではあるので、指摘は間違っていないんだけど。ただ、学ぶ権利は誰にでも平等であるべきだし、そのための奨学金制度であるので、お金がないことで勉学の道を諦めないで済むための制度であることは、これは忘れてはならないところだ。
そもそも金のない家庭なんかゴロゴロある。今なんか30代男性の平均年収が、400万円代だったりする時代だ。当然、子供を大学まで行かせようと思ったら、相当な苦労をしなくちゃならない。
そうなってくると、奨学金を活用するという選択はおかしなものではないし、むしろ利用しないと生活は困窮するというケースだってあるんじゃないだろうか。
「幸か不幸かは本人が決める事。奨学金を背負わなくても不幸な人はごまんと居る」
コメントにあるように「金がない=不幸」という図式が成り立つんなら、そもそも日本は借金大国。でも別に国民全員が不幸なわけではない。同様に、奨学金制度を活用している学生が、やがて社会人になって返済をするようになったとしても、それが不幸とは思わない。借りたものを返しているだけなのだから。
奨学金制度に対して、肯定的な意見もあるので、紹介したい。
「不幸じゃないよ。こんな時代だし親が頑張ってても学費を工面できない家庭もある。それを恨んだり親の怠慢だとか言っても仕方ないし、奨学金借りてまで進学したいという熱意は素晴らしいと思う」
「幸か不幸かは本人が決める事。奨学金を背負わなくても不幸な人はごまんと居る」
僕も、かつては学生時代に奨学金の世話になっていた。僕は本当に学がないので、高校受験で盛大にスベってしまい、私立高校に入ることになった。片親家庭だったので、当然家に金はない。そこで奨学金を頼ることにした。
この奨学金に助けられて、なんとか高校を卒業できた。もしこの制度がなかったら、今頃どうなっていたんだろう。
就職してからは返済の日々がスタートしたけど、実際これも、運営元の日本学生機構に電話相談でもすれば、かなり余裕のある返済プランを提示してもらえる。僕の場合は月に1万円程度の返済でなんとかなった時期もある。
返し続けていればいつか返済は終わるもの。少しずつ返済していた僕は、特段生活を困窮させるでもなく、奨学金を返し終えた。奨学金は、たしかに借金だ。だけど、借りたものは返す。これは当たり前のこと。
あくまでも個人の意見だが、利用した経験を踏まえても、奨学金制度はそんなに悪いもんじゃないと思う。学校に行くための選択肢は、多いに越したことはない。奨学金を借りていたって引け目を感じる必要はない。
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