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嵐・大野智主演『世界一難しい恋』が、男性からも支持される理由 主題歌のメッセージを読む

2016年05月18日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 嵐の大野智が主演を務めるドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ)第五話のラストでは、いよいよ大野演じる鮫島零治と波瑠演じる柴山美咲の交際が始まった。


 第四話でついポロリと告白してしまった零治に対し、美咲は「考えさせてください」と返事をしたため、零治は悶々とした日々を過ごしていた。(参考:嵐・大野智、『世界一難しい恋』の不器用男はなぜ“当たり役”に? 活動スタンスの変化から考察)しかし、小池栄子演じる秘書の村沖舞子による「モテる男は優しさを求めません、与え続けるのです」といったアドバイスに従い、返事を遅らせていた美咲に対して鷹揚な態度を取ったことで、複雑な彼女の心を見事に射止めたのだ。


 村沖舞子のアドバイスは今回も的確だった。モテるためには女性に対して“優しい嘘”をつくことができる心の広さを持つべき、との指摘は、身につまされる思いで聞いていた男性視聴者も多かったのではないか。筆者は男性のため、零治の気持ちが痛いほど理解できた。忙しない日々の中で心の余裕を保ち続けるのは大変である。ましてや相手の都合に合わせて待つとなると、つい気持ちが急いてしまうものだ。しかし、それではダメなんだよなぁと、第五話を観てしみじみ感じてしまった。大野智主演のドラマでありながら、本作は男性視聴者からの支持が非常に高いとのこと。零治の不器用ぶりに共感できるのに加え、恋愛指南ドラマとしても秀でているのが、その主たる理由だろう。波瑠の艶やかな入浴シーンも、疲れ目に持ってこいだ。


 さて、本日放送の第六話では零治と美咲の交際が描かれるわけだが、公式ホームページの予告によると、仕事と恋愛をいかにわけるかが二人にとっての問題点となるらしい。零治のことだ。またしても策に溺れて美咲を困惑させるに違いない。その様子を観て筆者は「俺はこんなことしないけれどなぁ」と口にしつつ、我が身を振り返って苦虫を噛むのである。じゃあ観なければ良いじゃないかと言われそうだが、どういうわけか心理的なハードルはそれほど高くはないのだ。


 それはやはり、嵐による主題歌「I seek」が、毎話ごとに我々男性の心を鼓舞してくれるからではないか。ストリングスの力強い旋律と、リズミカルに差し込まれるホーンが印象的なイントロから始まる同曲は、嵐の真骨頂と呼ぶべきファンキーでソウルフルなサウンドに元気を与えられる仕上がりだ。一方でその歌詞は意味深で、ドラマの世界観に寄り添うように、男性目線での恋の悩みが綴られている。特に大野によるソロパート「確かに今かすかに今/君に乱されるまま」との歌詞は、まさに零治のーーひいては多くの男性の心境を代弁しているといえよう。しかし、サビのラストでは「きっと何かが変わる/その時までにGoodbye」と、希望に満ちた未来を指し示してくれる。


 おそらく、ここで言う“Goodbye”は、素直ではない自分に対してのものであり、自らを変えてでも美咲に振り向いてもらおうという、零治の意思を表現しているのだろう。ドラマを観たからといって、もちろん簡単に自分を変えることなどできないが、その姿勢に学ぶところは多いはずだ。嵐の応援歌とともに、零治の恋の行方を見届けたい。(松田広宣)