2016年05月17日 17:02 弁護士ドットコム
熊本地震から1月あまりが過ぎた5月17日、日本弁護士連合会は被災者の生活再建支援制度の改善に向けた院内学習会を東京・霞が関の衆議院第2議員会館で開いた。災害復興の問題に取り組む弁護士らが登壇し、支援のあり方について意見を交わした。
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日弁連・災害復興支援委員会副委員長の津久井進弁護士は、被災者生活再建支援制度が、住宅の再建にのみ対象になっており、「生活の再建には結びついていない」と、もどかしい思いを吐露した。
「住宅の被害というのは、被害状況のひとつにすぎない。ありのままの被害に向かい合うことが大事だ。今のままの支援法では、熊本地震の大規模な地盤被害は放置されてしまう。『医(健康)・職(職業)・住』の被害のうち、住まいにだけポイントを絞っていて、健康や生業についての支援がない。生業が成り立たなくても、どうすることもできない」
津久井弁護士は、こうした現状を変えるために、被災者ひとりひとりの個別の事情を把握し、個別の支援をすることが必要だと訴えた。
「被災者ひとりひとりに寄り添った支援が必要だ。日弁連では、『災害ケースマネジメント』という言葉を提唱している。被災者が持つ課題はそれぞれだ。それぞれに、ケアマネジャーのような人をつけて、一定期間支援するような仕組みが必要だ。お金の支援だけでなく、人的な支援が必要だ」
熊本市内で活動する金子愛弁護士は、事務所と自宅が被災した。避難所、車中泊、友人宅での生活をへて、5月14日にようやく自宅に戻ることができた。事務所は今も修繕中だという。「被災者という立場でもあるが、弁護士として、市民の相談活動などしっかりしていきたい」と語っていた。
(弁護士ドットコムニュース)