マクラーレン・グループCEOのロン・デニスは、2016年のF1シーズンが終了するまでに「1チームないしは2チーム」が破綻する可能性があると考えている。
英AUTOSPORTの姉妹誌「F1 RACING」が行った、マクラーレンのF1デビュー50周年を記念するインタビューで、デニスは「F1そのものは多くの人々が思っているより、ずっと安定している」と述べたが、個々のチームを見ると危機に瀕しているところもあるという。
「現在、一部のチームが困窮状態にあるのは確かだ。1チームないしは2チームが、今シーズンの終わりまで活動を続けられなくなったとしても、それほど驚きはしないだろう」
そうしたチームの窮状について、デニスはF1が抱える根本的な問題というよりも、そのチーム自身が財務管理に失敗した結果だと見ている。
「そのようなチームのマネージャーは、基本的には手持ち資金を超える額の支出をしたために困難な状況に陥っている。どんなビジネスでも理屈は同じだ。持っている金よりも使った金のほうが多ければ、どうしても難しい立場に立たされることになる」
「だが、このスポーツには賭けごとに似た中毒性がある。自分たちのクルマは、次のアップグレードで奇跡的に競争力が高まると思い込んで、開発に資金を注ぎ込みすぎてしまうんだ。F1で長くやっていくには、どうすればその罠を避けられるかを学ぶ必要がある。収入の使い道について、配分を慎重に考えなければならないということだ」
「マクラーレンのように堅固で、支払い能力があって健全な会社でも、常にチームを完璧な形で運営していけるように、時には設備投資を意図的に抑えることがある。しかし、そういった経営手法が他のすべてのチームに浸透しているわけではないようだ。誤解を恐れずに言えば、一部のチームが安定しているとは言いがたい状況にあるのは間違いない」
F1の将来については「楽観的」だと明言するいっぽうで、デニスは変革に合意するのが難しい組織には疑問を感じると認めている。
「F1の世界では、チーム側が『こうしたほうが良い』と認識していることがたくさんあるが、全員が賛成できるソリューションを見つけるのは容易ではない。チームが、ある立場をとることで一致していても、FIAかCVCキャピタルズのどちらかが支持しなければ、現在この選手権が運営されているプロセスによれば、それは実現されないことになる」