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スピッツのバックバンドでも話題、スカート澤部渡とは何者? 本人&評論家に訊いてみた

2016年05月16日 14:41  リアルサウンド

リアルサウンド

澤部渡(スカート)。

 スピッツが4月22日の『ミュージックステーション』に出演し、新曲「みなと」を披露。その演奏時に口笛とタンバリンを担当したスカート・澤部渡に注目が集まっている。


 放送後には「スピッツの後ろでタンバリンと口笛吹いてたのは誰?」とSNS上で話題になり、翌週の番組内でも本人への取材VTRが放送されるなど、異例の形で2週連続出演を果たした。


 そもそも、スピッツと澤部の間にどういった縁があったのか。リアルサウンドでは本人にメールインタビューを行ない、両者の関係性について訊いてみた。


「何年か前にやったライブで口笛を吹いたら、その演奏を聴いていた直枝政広さん(カーネーション)に『今からステージで一緒にやらない?』と無茶振りされまして。その時の様子をスピッツのディレクターである竹内修さんが覚えてくださっていて、『みなと』のレコーディングに口笛担当として起用していただきました」(澤部渡)


 今回の反響について澤部は「素直に驚きました。与えられた仕事を最小限の動きで(笑)、こなしただけだと思っていたので」と答えつつ、スピッツからの影響について「子供の頃から好きなバンドでしたし、過去のカタログを掘るという行為を覚えた最初期のバンドでもあったはずです。何が起きているか描写しすぎない歌詞にもかなり影響を受けていると思いますし、スカートのアートワークへのこだわりはスピッツの存在がとても大きいです」と、コメントしてくれた。


 さらに、かねてよりスカートのアーティスト性を高く評価してきた音楽評論家の宗像明将氏は、彼との出会いについてこう語る。


「スカートを初めて見たのは、2011年8月18日に行なわれたBiSと昆虫キッズのライブでのことでした。急遽スカートというアーティストが追加され、可愛いガールズバンドかと思ったら、ボタンシャツを着た大男がいきなり光GENJIの『STAR LIGHT』を歌いだしたこと、それがあまりに良かったことが衝撃的で。すぐに売っているCD-Rを全部買って、本人にも『あなたは日本のマシュー・スウィートだ』と告げました」


 最後に、同氏は彼の魅力について下記のようにコメントした。


「澤部は音楽文化に造詣が深く、ムーンライダーズのかしぶち哲郎のトリビュート盤に参加したり、カーネーションのトリビュートをcaméra-stylo(カメラ=万年筆)の佐藤優介と一緒にオーガナイズするなど、ロック・ポップスの良質な部分に精通しています。そこから影響を受けた彼の音楽は、ルーツに根差した歌詞やサウンド、エバーグリーンなメロディーが特徴的です。聴き手にも音楽偏差値の高さを求めない、良い意味で人を選ばないソングライターでありシンガーなのです。だからこそ、ユースカルチャーに届き、インディーシーンでも広く支持されてきました。最新作『CALL』も、派手さはないがしっかりと聴かせてくれる作品で、彼が良質なポップスの作り手であることを再認識させられました」


 今回の出演を機に認知を広げたスカート・澤部渡。彼のエバーグリーンなポップスはこの先、どこまで多くの人に届くのだろうか。(中村拓海)