F1スペインGPと併催のGP3開幕戦レース1で、3位表彰台に立った福住仁嶺。だが、5月15日に行われたバルセロナの決勝レース2は、まざまざと厳しさを見せつけられる展開となってしまった。
前夜の雨により、グランドスタンドの影に隠れたメインストレートだけはダンプ状態という難しいコンディション。それでも福住は6番グリッドから好発進を決めたが、1周目の混乱の中で14位まで順位を落としてしまう。
「昨日はクラッチミートが少し足りなかったので、今日はいろいろ考えすぎてしまって、つなぎすぎでものすごくホイールスピンしてしまいました。それで頭が真っ白になっている間に、ターン2~3~4と、どんどんポジションを落としてしまって……」
首位に立ったのはチームメイトのタイ人ドライバー、アレクサンダー・アルボン。2位にベネズエラ出身のオスカル・トニオが続き、トップ2台だけが3位アントニオ・フォッコ以下を大きく引き離していく。後続は、ほぼ全車が1秒以内の僅差で続く大行列のまま周回が進んでいった。オーバーテイクの難しいバルセロナだけに目立った展開は少なく、レース1の勝者シャルル・ルクレールもスタートで9位にポジションを落としたまま、前のDAMS勢を攻略できない。
首位アルボンの好走からもわかるようにマシンの純粋な速さはあるものの、集団の中ではスピードを発揮することができず、福住も14位で前走車から0.5秒前後の差を保って走行を続けるが、オーバーテイクのチャンスはめぐってこない。
「抜くのは、かなり難しかったです。ペース自体は僕のほうが速かったはずなのに、ストレートで抜くまでには至らなくて、どうしようもありませんでした」
結局、最後まで大きな変動はないまま17周のレースが終了し、アルボンが初優勝。福住は14位でフィニッシュしたが、2周目のメインストレートで激しいブロックを見せてサンティノ・フェルッチを押し出した12位フィニッシュのマシュー・パリィに、3度以上の進路変更があったとして10秒加算ペナルティが加えられ、福住は13位となった。
「チームメイトが勝っているので、この結果はものすごく、くやしいです。今日はスタートですべてが決まってしまった。まだまだ自分に足りないところがあると痛感しました」
予選で14台が1秒以内にひしめく大接戦。F1やGP2とは違い、DRSを搭載していないGP3のマシンでは、最初から上位で走行をしなければレースで好結果を残すことは難しい。
「このレースは予選とスタートが、ほぼすべてだと思います。そこで上位にいないとレースで取り戻すのは難しいですから」
だが、バルセロナを終えて、GP3でトップ争いをしていけるという感触はつかめたようだ。
「簡単なシリーズではありませんが、GP3で戦っていけるという手ごたえはつかめました。参戦1年目とはいえARTはトップチームなので僕も結果を出して当然だと思われているし、プレッシャーはあります。でも、そこでしっかりと結果を出していきたいし、当然チャンピオンを狙っていきたい。ただ、まずは目の前のレースで勝つことを考えていきたいです」